あなたは絶対に、確実に、本気を出していない ~手抜きの心理学~

あなたは知らない間に「手抜き」をしています。どうでしょうか。突然そんなことを言われて、ドキッとしたでしょうか。
「もしかすると、そうかもしれない……」「そんなことないよ。ちゃんとやってるよ」それぞれに、いろんなことを思うでしょう。
 
仕事の種類などにもよりますが、多くの場合、人はみんなで仕事を行います。組織の一員として案件を進めていったり、パートナーと共同でプロジェクトを進めていったり。いろんな場面で、誰かと「共同」で仕事を進めていきます。しかしながら、このように誰かと共同で仕事をする、つまり「みんなで何かをする」と単独で仕事をするよりも効率が悪くなってしまい、「手抜き」が発生してしまうのです。確実に。このことを、心理学の考え方では「社会的手抜き」と呼んでいます。
 
普通に考えると、みんなで仕事をした方がひとりの時よりも効率がよく、たくさんの量をこなせそうです。ですがそこで「それって本当??」と疑問をもって分析をしたのが、フランスのリンゲルマンという学者でした。
 
彼は綱引きや荷車引きといった作業で実験を行いました。すると、1人の力を100%とした場合、集団で作業をした場合の1人当たりの力の量は、2人の場合93%、3人で85%、4人77%、5人70%、6人63%、7人56%、8人49%という結果が出ました。なんと、8人で作業するときの力は、1人で作業するときの半分しかないのです! このようにみんなで仕事をすることで、ときには力が半分となるほどに「手抜き」が起こっているのです。
 
「社会的手抜き」の面白いところは、知らず知らずの内に手を抜いている、つまり無意識に手抜きをしていること。もちろん、意識的な社会的手抜きもあります。例えば、重たい荷物をみんなで持つときに「1人くらい手を抜いても大丈夫だろう」と思うのは、意識的な手抜きです。しかし、みんなで大声を出すときなどは、声の大きさがひとりで出すときよりも、自分でも気づかないうちに小さくなっているのです。これは、無意識による社会的手抜きということができます。

EDITOR

五百田達成

作家・心理カウンセラー。「コミュニケーション心理」「社会変化と男女関係」をテーマに執筆。著書「察しない男 説明しない女」が30万部超え

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