10年付き合って破局! 『同棲終了日記』から学ぶ ズルズル恋愛を防ぐ3つのポイント

先日、コミックエッセイ『同棲終了日記』(おりはらさちこ著/双葉社)を本屋で衝動買いした。同棲をし始めるとなかなか結婚まで結びつかないとはよく言う。この著者の場合も、10年同棲した挙げ句に破局を迎えている。

筆者の周りでも、長年恋愛を続けているカップルは少なくない。「結婚はそのうち……」なんて言いながら、この本のように破局を迎えるのはあまりに不幸だ。
ズルズルした恋愛を防ぎ、幸せな結婚を迎えるために。必ず守るべき3つの原則を紹介しよう。

目次

1.結婚までのリミットを設ける


ズルズルとした恋愛を続けてしまう原因の一つは、結婚までの期限が曖昧になっていることだ。「とりあえず同棲から」と言って始めてしまった場合はとくに危険である。

『同棲終了日記』の冒頭にも、「ずっとこのまま 穏やかな毎日を積み重ねて おじいちゃん おばあちゃんになるのだと思っていた」と、老後の二人の妄想が描かている。だが実際そうなるためには、まず結婚するのかしないのか、子どもを作るのか否か、という具体的な話し合いをすべきだったのだ。そうすれば、自然といつまでに結婚すべきなのかという目標が立てられる。

また、期限を明確にすると、恋愛にも真剣味が出てくる。逆に言えば、真剣でないうちはいつまで経っても結婚できないだろう。このコミックエッセイにも、真剣さが足りないゆえの相方(彼氏)とのすれ違いがいろいろ描かれている。必要なものを列挙したホワイトボードに相方が「愛情」と書いても、謝るではなく対抗して「貯金」と書き加える。また相方が「他に好きな人ができたら?」と聞けば、「私を好きじゃなくなった時点で 相方は相方じゃないのだから そんなのいらんよ」と即答する……。こうして徐々に、相方が愛情に飢えていく様子にも気づけなくなってしまうのである。

リミットや目標がないことで、日々の生活にマンネリが生じてしまい、それが別れの原因になるということも考えられるのだ。

2.結婚の条件を定める


恋愛から結婚に移るまでには、誰しもなにがしかの障害を抱えているものだ。「仕事で出世したら」、「親の許しを得られたら」など、明確な条件があるうちはまだいい。多くが「なんとなく、今じゃない」と思っているのではないだろうか。その発想も変えていく必要がある。

筆者の場合はやや特殊だが、書きかけの長編小説を書き上げたら結婚するという意思があった。さんざん風呂敷を広げすぎ、「もうどうにもならない」というところまで行きかけたが、彼女から「絶対書き上げるって約束したのに」と涙ながらに訴えられ、我にかえって必死に書き上げた。

べつに、苦労を伴うものでなくてもいい。「結婚前にやっておきたいこと」でも可能だ。友達だけで旅行に行く、家計が一緒になる前に自分のほしいアイテムを手に入れておく、など。数は多すぎず、実現可能な条件を作ってみよう。

3.ときにはケンカも恐れない


ケンカというものが別れの原因になると考え、恐れているカップルも多いかもしれないが、それはまったくの誤りだ。ケンカがないからこそズルズルした関係が続き、最終的にたった1回で破局を迎えるという結果にもなりかねない。

ぜんぜんちがう人間が二人一緒の時間を共有するわけだから、小さな不満は日々出てきて当然だ。それを耐え続けていれば、積もったストレスがやがて火山のように噴火するのは目に見えている。

また、ケンカをせずに過ごすことが例えストレスにならなかったとしても、そんな関係にはそのうち「飽き」がきてしまう。コミックエッセイ『同棲終了日記』にも、こんなコマがある。「バカだねーこのカップル 互いを尊重して大人な態度でいれば ケンカ別れなんてするはずないのに」という著者自身の過去の発言を省みて、「バカは私だった 別れは ケンカ別れだけではなかったのだ」と。
後になってからケンカの「大切さ」を痛感したところで、時すでに遅し……状態になってしまうこともおおいにありうることなのだ。

小さなケンカというものは、ときにふたりの関係を強くする良いスパイスになる。不満のストレスを貯めないためにも、飽きをこさせないためにも、ちゃんとケンカをすべきである。ケンカも大事なコミュニケーションの一つなのだ。

以上が、ズルズル恋愛を続けないための3つの原則だ。いまの恋愛に悩みを持って、このコラムに目を通したみなさん。これらの原則をインプットして生活を切り替えても、結婚はできないかもしれない。男性の方から、「現状維持がいやなら別れる」と言い渡される可能性もありうる。

しかし、破局で終わった『同棲終了日記』は、最後はポジティブに締めくくられている。おかげでこうして実体験を本にすることができ、他の漫画の仕事も徐々に増え始めたのだと。

別れが待っていたとしても、これまでのことは決して無駄にはならない。すべて糧となった上で、また新しい生活にのぞむことができるハズだ。今ある不安を先延ばしにするのではなく、未来の幸せを少しでも近づけるために、これからとるべき行動を考えてみてはいかがだろうか。
(平原学)

写真はアマゾンより『同棲終了日記』(おりはらさちこ著/双葉社)

この記事を書いたライター

平原学
1985年佐賀県生まれ。作家・ライター・小説家。妻から「私より女子力高い」と言われているのが悩みの種。著書に『ゴオルデンフィッシュ』(文芸社)がある。

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