SNSでは強気? ネット上で悪口ばかり書き込む人の心理

今ではいろいろなサイトにコメントや意見、レビューを書き込むことが可能です。でもなかには、辛らつな言葉や誹謗中傷すれすれの書き込みを見かけることも少なくありません。でも、なぜネット上には悪口が溢れるのでしょうか? 実はみんな心に闇を抱えているの?

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匿名=透明人間


書き込みをする際、実名を名乗る人はなかなかいません。実名を名乗ることがもし強制であれば、人はそこまでひどいことは書かないもの。したがって匿名だからこそ、言いたいことが言えてしまうのです。責任を追及されることもありませんし、矛盾を突かれることも罪悪感もありません。どこの誰だかわからないというのは、まるで実態が見えない透明人間なのです。もしもあなたが透明人間になれたら、何をしたいですか? たいていの人は普段ではしたくてもできない、ちょっと悪いことを挙げるはずです。それくらい、自分の正体がバレないという状態は、人を悪のほうへと誘うものなんですね。

現実世界での憂さ晴らし


現実世界では思い通りにならないことが多く、理不尽な場面にも山ほど遭遇しますよね。面と向かって言ってもギクシャクするだけだし、言いたいことを飲み込んでしまう人だっているはず。そんなときに自分の正体を隠せば、言いたいことが気楽に言えます。ネット上に不満を書き込むことで憂さ晴らしをする人の場合、誰かの立ち上げた掲示板やサイトだったら、サイトの主さんは落ち込んでしまうかもしれません。でも、書き込むほうはそれよりも自分のストレス発散が先。こんなエゴもまかり通ってしまうのが、匿名で書き込めるインターネットの世界なのです。

自己顕示欲の表れ


Q&Aサイトなどを見ていると、純粋に、相談者さんの悩みに一役買いたいという人がいる反面、自分の能力や知識のひけらかしを感じさせる人もいます。これはおそらく書きかたの問題もあると思いますが、「そんなことも知らないの?」という体裁で書き込んでいる人などは、コンプレックスの塊なのかな、と感じます。とうとうと自分の知識を書き込んで「これくらい知っていて当然」と、専門用語で説明するなど、不親切極まりありません。

さらには自分の人生観や武勇伝、過去の悲惨な体験など、「これって何自慢?」と思うような書き込みもあります。「こんな風に生きてきた俺、スゴイでしょ?」という内容は、すでにQに対するAではありません。でも、こうでもしないと現実世界では「自分」が風化してしまいそう。優越感を持てる場所が見つからず、誰にもスゴいって言ってもらえないのです。せめてネットでは誰かに褒められたい……そこから「いいね!」ボタンも生まれたのかもしれません。

意外と倫理観に厳しい


誹謗中傷や自己顕示欲を見せる書き込みだけではなく、実は正論を説いている人も多いんですよね。「職場から逃げたい」と本音を吐露している人がいると、その人に対し「逃げても何も変わらない」「自分と向き合わなくちゃ!」と励ます。これは心から出た言葉の場合もありますし、叱咤激励とも言えるでしょう。でも顕著なのは、不倫に対しての書き込みです。不倫相談や不倫打ち明け話などに対し相当な数が、「自己チュー」「奥さんの気持ちになったことがあるの!?」「まともな大人のすることじゃない!」と痛烈批判。そして同調する書き込みがその下へズラリと並び、まるで鬼の首でも取ったかのように、「悪を成敗しなければ」という大勢の意気込みが伝わってきます。

これは群集心理というもの。自分の中でちょっと抱えていた不満や意見を、多くの人と共有することによって、巨大な力になっていきます。その発言に特に責任が課せられることはなく、一体感が味わえる。自分の不満が多くの人に支持されたら、快楽にさえ思えるかもしれません。不倫は文字通り倫理に反する行為ですから、大義名分もあり、堂々と「悪は不倫をしている奴らである!」と言えてしまうのです。自分が不倫で夫を奪われたという経験があれば、まさに書き込むだけで気持ちが晴れ晴れするのでしょう。

いずれにしても、やはりネット上ではまず自分が一番。仮想世界とは、現実で我慢していることを、ぶちまける場所なのですよね。そのおかげで明日もまた仕事で頑張れるなら、必要悪なのかもしれません。ただ本当に悩んでいる人もいますし、些細な不備をあげつらって「このお店サイテー」と糾弾し閉店に追い込むようなことは、他人の現実に大きな損害を与えることに他なりません。もしも匿名でなければ、同じことが言えるでしょうか? 悪ノリする前に、そこをいったん自問自答してから書き込んで欲しいところ。ご自身の憂さ晴らしやストレス発散方法は、それから考えましょう。
(鈴木ナナ)

この記事を書いたライター

鈴木ナナ
関西在住のフリーライター。お酒と食べ歩き、人間観察が好き。心理カウンセラーの資格を有し、夜な夜な面白い人を探しに街へ繰り出すのが趣味。食べログ京都マスター。日本最大級の京都グルメインスタアカウント「KYOTO STYLE」アンバサダー。

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