けんかの原因は完璧の求めすぎ? カップル間のけんかを減らす方法

恋人とのけんかは「できるなら、したくない」のが本音ですよね。大事な人だからこそぶつかってしまうこともあるし、「けんかするほど仲がいい」と言われることもありますが、けんかの頻発で消耗し、ダメになってしまう関係もあるので、感情の赴くままに言い争いをしがちな人は要注意。本日は、恋人とけんかを減らすためのひとつのヒントをご紹介します。

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「心の要求水準」が高いから、けんかになる!?


歌人・斎藤茂吉の息子であり、精神科医の斎藤茂太さん(満90歳没、通称“モタさん”)は生前、「若い頃は夫婦げんかを派手にやったけど、今はほとんどしない。心の要求水準をだんだん落としているからけんかにならなくなった」などと著書で述べています。奥様への要求水準が落ちてきたのは「生活の知恵」とも語るモタさんですが(笑)、「若い頃は、やはりお互いに相手に100%を要求していたからけんかになったのだろう」と振り返っています。

曰く、「夫の方は、心の中で完全な自分の理想とするような妻を要求していて、妻の方も理想的な夫を心の中で思い描いているから、不満が起こる。でも実際には100%の妻も夫もいない」と。そんなモタさんの奥さんは、バースデーカードに自ら「40%の妻より」なんてスパイスの効いたメッセージを書いて渡してきたそうで、モタさんは「一本とられた」と思った……なんて微笑ましい思い出も披露しています。(参照:「女のはないき 男のためいき」 斎藤茂太著 第三文明社)

客観的に見ても、奥さんのこの姿勢はカップル円満のために効果的。普段から、こちらが「ま、私は(理想の)40〜50%くらいの彼女だから」なんて気持ちを持っていれば、無理に頑張って“見返り”を要求する気持ちも少なくなり、相手にも「完璧」を求めにくくなるでしょう。自分が先に「完璧でないこと」を認めて開き直ることによって、相手への要求水準も減らす……ということですね。

モタさん夫婦のように長年一緒に連れ添い、「色々あったけど長い間ありがとう」なんて感謝が積み重なっていけば、自然に要求水準は下がっていくこともあると思いますが、形式的な縛りのないカップルの場合、それまでにけんかによって破綻してしまう可能性もあります。恋人とのけんかが多いという人は、「理想を押し付け合っていないか」を省みつつ、“自分は不完全”だと先に言ってのける方法、ぜひ試してみてはいかがでしょうか。

「喋って発散」もいいけれど、「書いて発散」はおすすめ!


とはいえ、育った環境も価値観も違う部分がある異性どうしが一緒にいて、まったくけんかをしないのも難しいもの。持って行き場のない“イライラ”を抱える日もあるでしょうが、その気持ちを口走って衝突する前に、一度その気持ちを「書き留めてみる」のは非常におすすめです。「鬼嫁ブログ」等はその最たる方法とも言えるでしょう(笑)。書き出すことによって、人の心は思いのほかクリアになるもの。今はスマホのメモ帳や閉じたSNSなどもありますし、ぜひ手軽なツールでさっと気持ちを書き出す癖をつけてみては?

「書いて発散」は、自分のタイミングでできるのが何よりいいところ。「喋って発散」も効果的ですが、気の置ける友人にその都度会うのはなかなか難しいですよね。おすすめは夜、寝る前に書きだすこと。すると朝にはスッキリして、けんかの内容が軽くなっていることも多いです。後日読み返してみると、「しょうもないことで怒ってるな〜」なんてふっと笑える瞬間もあることでしょう。

傷つきやすい人も、攻撃的になる?


年季の入った夫婦ならばさておき、まだ関係が不安定な“恋人”の場合、相手の言動に「傷つきやすい」ことで、けんかが増加・悪化してしまうケースもあります。例えば、相手の仕事が忙しくて会えないときに、「自分は愛されていない」と思い込んで、イライラをぶつけてしまったり。相手が気ままに過ごしているだけで、「私は大事にされていないのか」などと不安になってけんかをふっかけたり……などなど。

人は傷つくと、どうしても攻撃的になりやすいです。この傾向がある方は、「相手の言動」をすぐに「自分への愛情」と紐づけて考えず、事実はただの事実として捉える癖をつけること。少しタフになり、傷つきを攻撃で表現しないよう注意していきましょう。

けんかによって仲が深まるケースもありますが、その際に言われた言葉が忘れられず、後々まで二人の関係に悪影響を及ぼすケースもあります。ポイントは、お互いの不完全さを許容しあい、相手への「要求水準」をうまく下げていくこと。自分なりに「発散のしかた」や「下手に傷つかない方法」も工夫しながら、大好きな彼とけんかをしなくて済むよう心がけていきましょう。
(外山ゆひら)

この記事を書いたライター

外山ゆひら
対人関係、心や生き方に関する記事執筆が中心のフリーランスライター。読売新聞が運営する「発言小町」の相談コラムや、「恋活小町」を担当する。文芸、カルチャー、エンターテイメント方面を日々ウォッチしている。

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