スッピンに自信が持てない…濃いメイクをしないと落ち着かない心理

発言小町に、「素顔とのギャップ」という投稿が寄せられました。
トピ主さんは28歳女性。化粧の前後で自分の容姿がかなり違うことに悩んでいます。もともとは地味だそうですが、「20代になりメイクの研究をした頃から、男性の扱いが驚くほど変わって彼氏もできた」とのこと。そのため、「自分のすっぴんに嫌悪感しか持てない」そうです。

現在、お付き合いしたいと思う男性がいますが、「この人も、化粧後の私の顔を見て気に入ってくれてるんだよね」と思うと、「薄いメイク(=本来の自分に近い)を見せたいと思う反面、嫌われたくないと思う気持ちもあり、なかなか現在のメイクをやめられずに悩んでいる」といい、アドバイスを求めました。

目次

メイクは逆に「自信」を奪うこともある!?


今回のお悩みは「メイク」についてですが、「心」の問題が大きく関係しているように感じました。

トピ主さんは「本来の自分のままでは愛されない」という強い思い込みがあるようですね。投稿に記されている「10代の頃、まったくモテずに彼氏もできなかった悲しい過去」が、その思い込みを生み出したと考えられます。

しかし28歳になったトピ主さんには、「本来の自分を見せて、愛されたい」という願望が芽生えてきたようです。「メイクをして愛される満足」を感じられた時期からひとつ先に進み、「素の自分」に向き合いたい気持ちが出てきたとも推測できます。しかしながら、まだ「メイクをしていない自分」には自信を持つことができない。メイクはある種、“精神安定剤”のような役割も果たしていて、トピ主さんの自信のない気持ちをカバーしてくれているのでしょう。

「容姿へのこだわり」と「女性の心理」には深い関連があると考えられており、多くの学者が研究をしています。「内向的な女性ほど、化粧が派手になる傾向があり、化粧をすると他人に対して積極的な行動をとるようになる」といったことや、近いテーマで整形などに関しても、「整形手術をすると、自分の不完全さが一層気になるようになり、かえって自己否定感が強まって自信を失う人も多い」といった調査結果が発表されています。

「この歳になってもカラコンとつけまつげ(又はまつ毛エクステ)がやめられない」というトピ主さん。派手なメイクでないと落ち着かないのは、地味な容姿のみならず、「内向的な自分」にも否定的な気持ちがあるからかもしれません。しかし、メイクなどで“容姿を盛る”行動がエスカレートしていくと、逆に“本来の自分”の不完全さが気になってしまい、自信が持てなくなってしまう場合もあると考えられます。トピ主さんも、もしかしたら“偽りの自分”で男性に受け入れてもらっている意識があるために、メイクをきちんとしてモテればモテるほど、本来の自分には自信を失ってしまう――という悪循環が起きているのかもしれません。

友達の前で試してみては? ひとりの意見で変わるかも


では、どうすればいいのか。「薄いメイクやすっぴんでも、ちゃんと男性に好かれる」と思える体験をするのが一番ではないかと思いますが、いきなり好きな男性に素顔を見せるのは怖いですよね。「嫌われたら取り返しがつかない」と感じて、勇気が出にくいと思います。であれば、まずは男友達や同僚、友人たちの前と会うときに薄いメイクやすっぴんを試してみて、彼らの反応を見てみてはどうでしょうか。

少しずつ試してみるのもおすすめです。ある日は、カラコンを外す。ある日は、つけまつげを外す。またある日は両方とも外して、ファンデーションとアイブローくらいにとどめてみる。気のおけない友達であれば、「いつものメイクと比べて、どう思う?」と意見をもらってみるのもいいでしょう。そうしたら、「薄いメイクもいいじゃん」「こっちのほうがいいよ」なんていう声もあるかもしれません。

「自分のこだわり」は、意外と偏っていることも少なくないものです。洋服でもありますよね? 例えば「スカートは自分には絶対に似合わない」と思い込んでいて、でもそれを着てみた日に、誰かに「可愛(かわい)い」「似合うじゃん!」なんて褒められたら、どう感じるでしょうか。不思議と「あれ、そうなのかな?」「また着てみようかな……」なんて思えるようになりますよね。トピ主さんの「薄いメイク」「すっぴん」への苦手意識も、そんなふうに、誰かのたった一言で変わる可能性もあると思います。

モテるようになったのは、「メイク」だけが理由?


また、「20代になってモテるようになった」というトピ主さん。個人差はありますが、一般的に女性らしい魅力が開花する時期と考えると、20代は多くの女性にとって「モテ始める」実感を得やすい年代である――という考え方もできます。

「かつてモテなかった」「彼氏ができなかった」というのは、必ずしも「地味な容姿」だけが理由ではなかったのかもしれません。例えば、「精神的にも幼かった」とか、「異性とのコミュニケーションに不慣れだった」とか、そもそも「異性と日常的に仲良くする場がなかった」とか……そんな可能性もあるでしょう。

20代になると、女性らしい言動が身についたり、ファッションを含め全体的に華やいだ雰囲気になったりしますよね。異性と関係を築くのがうまくなり、メイクに限らず、人間としても“成長”していく時期です。そうした要素も含めて男性にモテるようになったと考えれば、28歳の今、メイクを少し薄くしたからと言って、それほど恋愛には影響が出ないかもしれません。むしろ、「派手なメイクをしないと不安になってしまう精神状態」のほうが、恋愛がうまくいかない原因になりやすいようにも感じます。

容姿や男性からの評価だけが、「自分の価値」だと思わないで


自分の価値を「容姿」や「男性からの評価」だけに頼ってしまっているのも、メイクを薄くできない理由ではないかと推測します。「美しく見られて、男性にモテること」は、確かに人生の大きな喜びの一つでしょう。しかし、そのこと“だけ”に自分の価値を見いだしてしまうと、生涯、心を安定させられないケースも少なくありません。長く続く、安定したパートナー関係を得ることも難しくなりがちです。

メイクをしようとしまいと、トピ主さんのいいところは、きっと他にもたくさんあるはず。あると思えないならば、スキルやコミュニケーション力を磨いたり、何か資格をとったりするのもおすすめです。「心の底から好きだと思えること」を探してみるのもいいと思います。「誰がなんと言おうと、私はこれが好き。これをしているときは幸せだな」と思えるようなものがあると、「他人や男性からどう見えるか」にばかり価値を置かずに済むはずです。

「誰に何を言われようとも、私は私のしたいように、私らしくしていていいんだな」という心持ちを獲得できれば、すっぴんを見せただけで幻滅するような男性や、派手なメイクの自分しか好きになってくれないような男性には、自然と興味がなくなるかもしれません。

メイクは、「しないと不安だから」するのではなく、「いい気分になるために」しよう。時にはすっぴんの日があってもいいし、「今日はバッチリきめたい!」と思う日には、自分が好きだと思えるメイクをして楽しめばいい――。そんなふうに思えるといいですね。ぜひこれからの人生で、容姿以外の“自分のよさ”を少しずつ、そしてたくさん見つけていってほしいなと思います。
(外山ゆひら)

この記事を書いたライター

外山ゆひら
対人関係、心や生き方に関する記事執筆が中心のフリーランスライター。読売新聞が運営する「発言小町」の相談コラムや、「恋活小町」を担当する。文芸、カルチャー、エンターテイメント方面を日々ウォッチしている。

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