「ママが働くこと」、子育てに好影響もアリ!?

「働くママ」の大変さは、想像以上。スケジュールや肉体的な大変さだけでなく、「職場に迷惑をかけている」というストレスや、「子供にとって悪影響なのではないか……」という心配要素を精神的に抱えている方も少なくありません。しかし、発達心理学のこれまでの研究によれば、「ママが働くこと」による、子育てへのデメリットは特に見当たらず、むしろメリットにもなりうる影響もあるのだとか。今回はそのあたりの研究をご紹介いたします。

子供へのデメリットは特にナシ!? メリットとは?


まずは具体的なデータから。5000人の子供について、生後4ヶ月から小学校入学までの6回、定期検診を行い、心身の発達状況を追跡研究したレポートがあります(『乳幼児の心身発達と環境-大阪リポートと精神医学的観点』 名古屋大学出版会/服部祥子・原田正文)。これによると、「母親の就労の有無や就労形態は、子供の心身発達のどの面についても、差をもたらさない」ということが判明。要するに、ママが働くことによる、子供への悪影響は特に見当たらなかった、ということです。さらには、「ママが働いている子供のほうが、独立心が高い」といった結果も出ており、要するに「ママが働いていると、しっかりした子供が育ちやすい傾向がある」ということになります。このことをメリットと感じるかどうかは親御さんによって差があるでしょうが、子供の将来にとっては好影響だ、と感じる方もいるでしょう。

とはいえ、そう一元的な問題で捉えられないのが、この問題。子供への直接的なデメリットは数値として表れなかったものの、「母親にとって、働くことがストレス過多になっているとき」「家族との関係が悪化しているとき」「養育条件が悪いとき」などの条件下では、別の影響が出てくる可能性も示唆されています。女性も社会で働くほうが、大きな目で見れば、確実に社会全体の為になると考えられますが、「環境」がそれを阻んでいることが多いのも現実です。「仕事と家庭の両立」を、社会、子供、父親母親、みんなのメリットにしていくためには、会社や社会の『条件整備』が何よりも不可欠、ということになってきます。

「仕事と家庭の両立」のプラス面・マイナス面


さて、皆さんは普段、何らかの「役割」を生きています。独身で一人暮らし、という場合、主に担っているのは『職業役割』のみになりますが、結婚し、子供や親など家族ができると、『家族役割』というのが加わり、多重役割を生きることになります(細かく分けると、「配偶者役割」「親役割」「家事役割」「老親介護役割」などがある)。担う役割が多ければ多いほど、大変なのは想像がつきますね。多重役割を担って生きることは、果たして「充実」なのか、「疲弊」なのか。学者たちからも賛否両論があるようです。

(1)「両立はマイナス」意見(『欠乏仮説』)……時間とエネルギーには限界があるので、役割が多くなりすぎると、各役割に割ける時間とエネルギーは減少し、「役割感の葛藤」が増加。負担感、疲労感、抑うつなども高まり、幸福感は低下する。

(2)「両立はプラス」意見(『増大仮説』)……多重役割は人間のエネルギーを大きくさせる。全体的にも地位が向上・安定し、ネットワークが広がり、役割遂行の資源が蓄積されるので、役割従事者の「満足感」や「幸福感」を高め、抑うつ、不安、精神的不健康を低める。

介護疲れや子育て疲れが原因で、といった事件もよく報道されていますので、確かに多重役割がマイナスになってしまうケースもあるのでしょう。「仕事と家庭の両立」を充実した人生に繋げていくためには、まずは『環境』(就労環境や家庭環境など)。周囲のサポート環境が何よりも重要ということですね。さらには、本人やパートナーの性格、メンタル力によっても向き不向きがあると言えるかもしれません。

最後に、実際の共働き夫婦に対して、仕事と家庭の両立のプラス・マイナスについて調べたデータをご紹介いたします(『共働き世帯夫婦における多重役割と抑うつ度との関連家族心理学研究』 福丸由佳/数値は影響力の強さを示したもの)。

◎「家庭⇔仕事」のプラス面……男性3.3(最大)、女性3.5(最大)
・ 仕事で良い刺激を受けるので、家庭生活にも張り合いが出る
・ 仕事での経験が家庭でも活かされる
・ 子育ての経験が仕事でも活かされる

◎「仕事→家庭」のマイナス面……男性3.0、女性2.9
・ 仕事で疲れてしまい、妻(夫)としての役割が思うように果たせない
・ 仕事が忙しくて、家族とゆっくり過ごす時間がない
・ 仕事がきつくて、家にいるときもイライラする

◎「家庭→仕事」のマイナス面……男性2.0、女性2.4<相関係数>
・ 家族のことが気になって仕事に集中できない
・ 家庭サービスに疲れて、仕事に十分に取り組めない
・ 家事や育児の為に仕事量を押さえなくてはならない

全体的には、両立のプラス面を感じている人の数値が高くなっていますが、「男性は家庭に申し訳ない」と感じ、「女性は仕事に悪影響が出ているかも」と感じる傾向も表れています。これは、男性がどうしても仕事を優先させてしまうこと、女性がどうしても家庭を優先させてしまうことが多いために、片方を精一杯やれていないと感じてしまうからだと推測できるでしょう。

いかがでしょうか。ママになっても仕事を続けるかどうかは、ご夫婦のそれぞれの意志と、環境次第。どちらが良い悪いということは一切ありませんが、両立を余儀なくされる人も多いこんな時代だからこそ、社会や労働環境のいち早い整備が望まれますね。つい先月、ネット上のアンケートにおいて、「育休を取る女性は辞めてほしい」と回答した企業が25%にものぼったことが話題になりましたが、こういった風潮も少子化や晩婚化に拍車をかけている、といった意見も出ています。皆さんは、「働きながらの子育て」について、どんな意見をお持ちですか?
(外山ゆひら)

この記事を書いたライター

外山ゆひら
対人関係、心や生き方に関する記事多め。発言小町の相談コラム『恋活小町』担当。文芸・カルチャー・エンタメ方面を日々遊歩しております

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