良い妻、良いママほど陥りやすい!? 「空の巣症候群」とは

先週、最終話が放映された『家族ゲーム』。ご家族をお持ちの方は、それぞれの立場から考えさせられる部分があったかもしれません。
鈴木保奈美さんが演じた佳代子は、典型的な“良い妻”良い母“であろうと必死で家庭を切り盛りしてきた女性でした。仕事と言って家に居着かない夫の世話を行い、2人の子育てもほぼ一人で取り組み、疲れるご近所付き合いも頑張っていた。しかし、旦那の浮気、優秀だった子供の非行や不登校などをキッカケに、「こんなはずじゃない」と、うまくいかない現実を見て見ぬふりをするように。クライマックスにかけて、行き場のない気持ちはついに爆発、すべてを放り出して家出し、ついには離婚を申し出て……という展開で進んでいきました。

熱心な母親ほど要注意!? 「空の巣症候群」とは


この家庭には、他にも複雑な原因があったのですが、佳代子は、物語当初のままの家庭状況であれば、おそらく「空の巣(からのす)症候群」になってしまったであろう、典型的な母親像だったと言えると思います。「空の巣症候群」とは、子育てがある程度終わり、自立し始め、夫も自分に全く構ってくれない、そんな状況の40~50代の女性が、精神的な空しさにさいなまれ、頭痛、倦怠感、孤独感、イライラなど、家のなかで抑うつ状態に悩まされる症状を指します。

進学や就職、結婚などで、子供が家からいなくなるのをキッカケに起こりやすいことから、この名前がついていますが、空の巣症候群は、燃え尽き症候群にも似ています。家庭のことや、子育てをとにかく熱心に頑張り、「良い妻」「良いママ」と言われていた人ほど、子供が自分の手から離れていくときの空虚感や孤独感は大きくなりがち。「自分はもう用済みになった」「自分の人生は何だったのだろう……」などと悩み、落ち込んでしまうのは、定年退職後の男性の感覚とも、近いものがあるのかもしれません。

なかには、“子離れ”がどうしても精神的に受け入れられず、子供を自分の監督下から離そうとしない女性もいます。子供の人生にしきりに意見したり、必要以上に援助をしたり、という形で、子供が自分から巣立たないように留め置いてしまうのですね。若年層のニートや就職難、所得が少ないために実家から出られない、といった現代の社会事情も追い打ちをかけて、「空の巣症候群」予備軍の母親も増えているのでは……という見解もあるようです。

「空の巣症候群」にならないために


親子の仲が良いのは素晴らしいことですが、あまりに“べったり”な関係を築きすぎて、いつまでも親離れ・子離れできないのは、子供にとっても不幸なこと。将来、「空の巣症候群」に陥らないためにも、子供の成長に従って、少しずつ距離間を変えていくことが大切かもしれません。このことを説いた教育者の教えに、とても分かりやすい『子育て四訓』というものがありますので、ご紹介しておきます。

『子育て四訓』
1. 乳児はしっかり肌を離すな。(乳児=満1歳未満)
2. 幼児は肌を離せ、手を離すな。(幼児=満1歳〜小学校入学前まで)
3. 少年は手を離せ、目を離すな。(少年=小学校入学時〜満18歳) ※以上、定義は児童福祉法より
4. 青年は目を離せ、心を離すな。

乳児のときは、ぴったり側についていてあげることが重要ですが、大きくなるに従って、身体的にも精神的にも、徐々に距離を取っていくこと。そして、最終的には、「自由に生きていいよ、でもいざというときは頼っておいで、帰っておいで」という関係に辿り着くことが、子供の健やかな自立には必要、ということですね。これは同じく、母親自身にとっても必要な心がけと言えそうです。

家庭や子育てに没頭しすぎて精神的に離れられなくなり、いつか突然ポッカリ心に穴が空いてしまったり、うつ状態になったりしないためには、月並みですが、仕事、趣味、サークルやボランティア活動など、子供以外の“生き甲斐”も持っておくことが、やはり一番の方法です。加えて、旦那様の側も、普段から奥様とたくさん会話したり、たまには2人きりで過ごす時間を作ったりしていると、中年期の奥様に訪れやすい“危機”を防ぐ、大きな助けとなるでしょう。夫婦で知っておきたい、「空の巣症候群」のこと。あなたの家庭は大丈夫ですか?

参考:『児童心理2013年3月号』 金子書房

(外山ゆひら)
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この記事を書いたライター

外山ゆひら
対人関係、心や生き方に関する記事多め。発言小町の相談コラム『恋活小町』担当。文芸・カルチャー・エンタメ方面を日々遊歩しております

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