結婚は“偶然”に左右される時代!? 「独身ハラスメント」に悩む男女

「まだ独身なの?」「そろそろ結婚しなくちゃね」などと毎度言われるために、友人や家族に会うのが億劫になってきたり、会社の飲み会にも出たくなくなってきた‐‐そんな声は、独身者から少なからず聞かれます。一方的に「理想が高すぎるんだよ」「性格にどこか問題があるんじゃない?」などと決めつけられた、仕事で失敗したら「やはり人間的にどこか欠けている」と囁かれた、ようやく見つけた趣味を楽しんでいたら「独身は暇でいいわよね」と言われた……なんて話も多々。

「結婚するのが当たり前」「結婚して子供を持って、一人前」といった認識のもとに、独身者に表で裏で浴びせられる、こんな言葉。評論家の海老坂武さんは、著書にて、こうした独身者への不躾な言動を、「独身ハラスメント」と名付けています。

“たまたま独身”なだけ。それは悪いこと?


何でもかんでもハラスメント、と呼ぶのはどうなのか、といった意見もあるでしょう。しかし、例えば「結婚をして子供がいる人」たちが偏見を持たれることは、滅多にないはず。望むと望まざるに関わらず、独身という状況にある人に対して、「結婚するのが当然なのに」という意識で接し、無用に傷付けているのであれば、それはやはりハラスメント(=嫌がらせ)になり得る、と言えるかもしれません。

独身者たちからは、「少子化には貢献できていないかもしれないけど、しっかり納税はしているし、消費にも貢献しているし、誰にも迷惑はかけていないのに……」「適齢期を過ぎた独身者は、優雅にしていても、焦っていても、どこか馬鹿にされている感じ」といった、複雑な気持ちも聞かれました。

中には、「モテないのね」「性格に何か問題があるのだろう」といったレッテルを貼られるうちに、自分でもそう思い込んでしまう独身者も。しかし、実際に接してみると、「ただ結婚したい時期に、結婚したいと思える人に出会わなかっただけ」「結婚したかった人と結婚できなかった(しなかった)から、独身なだけ」といった、自然体な人もたくさんいます。“たまたま独身”なだけなのに、周囲の偏見やプレッシャーのなかで、自信を失いそうになる。自己肯定ができなくなり、心を閉ざしたり、卑屈になったりして、他人との密な関わりや恋愛に飛び込む勇気を失ってしまう……といった、負のスパイラルに陥ってしまう人も。

また、攻撃されると、攻撃し返してしまうのが人間心理。どちらが始まりかは“鶏と卵”でしょうが、既婚者に心外なことを言われると、「結婚なんて、人生の墓場だろう」「不満だらけの主婦になるよりマシ」などと、心の中や匿名で反発する独身者もいるかもしれません。とはいえ、面と向かって、既婚者に反論できる人はやはり少数。「既婚者のほうが多数派(マジョリティー)で、“標準型”だ」という思いが、両者ともに、心のどこかにあるからでしょう。「ハラスメント」と呼ばれる多くに、こうした立場の違いが関係していることは、理解しておきたいもの。

ちなみに、上述の海老坂さんは、主義主張があって独身を貫いている(=「原則シングル」)のではなく、さしあたって現状、独身である、という人を、「状況シングル」と命名。作家の岸本葉子さんも、「独身なのは、主義ではなく“状態”であり、言い換えるならば、偶然にそうなった“習慣”である」といったことを、著書で言及しています。独身者を見ても、ただシンプルに、「今、さしあたって独身、という“状態”なのだね」と、心の底から思える人が増えれば、“独ハラ”も減少していくのかも……!?

「必然」ではなくなった分、「偶然」に左右されるように!?


現代は、仕事を持つ女性も増え、昔のように、「経済的な理由や、家のために好きでもない相手と結婚しなければならない」とか、「別れたいのに離婚できない状況」といった人は、あまりいなくなりました。結婚が“必然”ではなくなった分、「(1)したいと思った時期」に「(2)そう思える相手に出会えた人」だけがする……というものに変化してきている、といった見方もできます。

したいと思える相手に運良く出会えても、片方もしくは両方が、仕事や収入状況などで、「したい(できる)時期ではない」と別れてしまうケースもあります。逆に、結婚したい時期の人たちが、“婚活”の場には多数集まってはいるものの、「誰でもいいから、とにかく結婚がしたい」という人は稀で、心から結婚したいと思える相手を、多くの人が探しています。(1)(2)が叶った人だけが結婚をしていく……となれば、「運命」や「偶然」的な要素もかなり強くなってきている(!?)、と言えるかもしれません。

「願わくば、この先、そうした偶然に出会ってみたい」と思ったり思わなかったりしながら、“たまたま、さしあたって今は独身”という男女もいる。そうしたフラットな見方が浸透し、独身者に限らずですが、多様な生き方が肯定され、どんな状況の人も生きやすい、優しい社会になっていくといいですね。皆さんは、「独身であること」「結婚の自由」を、どう捉えていますか? 
(外山ゆひら)

(参考:『新・シングルライフ』 海老坂武著 集英社新書 、『ひとり暮らしの人生設計』 岸本葉子・横田濱夫著 新潮社)

EDITOR

外山ゆひら
対人関係、心や生き方に関する記事多め。発言小町の相談コラム『恋活小町』担当。文芸・カルチャー・エンタメ方面を日々遊歩しております

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