「魚は対面販売で買え」小さいころの夢にこだわらない!

キャリア学者で高橋俊介さんという人がいます。彼の語り口はとてもリズミカルで明快。講演はまるで落語のようでいつも笑いが絶えないのですが、彼がよくつかうたとえ話に「魚は対面販売で買え」というものがあります。

その昔、魚は街の魚屋さんで買ったものでした。主婦たちはお財布を持ってとりあえず魚屋に行き、店主にこう尋ねます。「今日、なにかいいの入ってる?」と。

すると魚屋は、たとえば、「今日はカレイがおいしいよ」とその日入荷した魚の中から新鮮なものをオススメします。

そこで初めてお母さんたちは頭を回転させ、「そう、カレイね。……じゃあ家にネギの余りがあったから、煮つけでも作ろうかしら」と考え、カレイを買って帰る。それが本来の魚の買い方だったのです。

ところが、世の中が便利になりスーパーであらゆる種類の魚が並ぶようになると、そんなやりとりはありません。主婦たちは事前に、たとえば、「今日はサンマ」と決め込み、あまり脂がのってなくてもパックのサンマを買っていくことに。便利だからこそ、献立に融通が利かなくなってしまうことがあるのです。

それよりも、そのときそのときの旬の魚を相談しながら買ったほうが、おいしいご飯が食べられて幸せ、ということ。

高橋教授は、これをキャリアや仕事選びのたとえとして話しています。

日本経済が安定していたころは、たとえば30歳までに係長になって、40歳のころには出向して、と計画が立てやすかったのです。

ところが現代では分からないこと・危ういことが多すぎて、事前の計画通りに行くことはまずありません。それなのに、早くからキャリアプランを決め込みすぎることは、なにがなんでもサンマにこだわる主婦と同じです。

それよりはその日の水揚げ次第で新鮮な魚を選ぶように、キャリアも臨機応変に選ぶべしというのが彼の考えです。

この話は恋愛や結婚に関しても、そっくりそのまま当てはまります。

このご時世、恋愛や結婚は自分の力ではどうにもなりません。事前のプランはそれほど意味をなさないのです。

ですから僕は、
「小さいころの夢はお嫁さんだった。なのに30歳を超えたいまでも結婚できてない」
「専業主婦になって子どもをきちんと育てるのが理想だったのに、彼氏の収入的にそうもいかない」
といった悩みを聞くたびに、高橋さんの話を引用してアドバイスしています。

小さいころからの夢はかなえばいいというものではありません。

小さいころのあなたといまのあなたは、当たり前ですが別の人間です。どちらが大事かといえば、当然、いまのあなた。

世の中のことをなにも知らなかった女の子の理想が実現されなかったからといって、なにも「この世の終わり」ではないのです。

安定を好む女性ほど、予定と現実が狂うと、うろたえてしまいます。

それよりは適当に「なんかおいしい魚ないかなあ。ま、別にお肉でもいいんだけどなあ。あ、コロッケもおいしそうだなあ」と商店街をぶらつくような気持ちが、人生においてはとても大事。

どんな状況にもとっさに対応できるよう、いつでも心をゆるめておきましょうね。
(五百田達成)

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