葬儀・告別式・弔問においてのマナーで一番大切なこととは?

この世に生を受けたと同時に誰もが死に向かって生きている。そして生きている以上、誰もが人の死と向き合うことは避けて通れないもの。先日、知人から「母が旅立ちました」という訃報を受けた。さらに「母の意思で多くの方に煩わしいことはさせたくないということで誰にも知らせず家族葬で行いましたのでどうか、お気遣いなく……」というものだった。

悲しみと同時にどうしていいのか戸惑うこととなる。親族や特別親しい方だけで行う家族葬はそれ以外の弔問者や参列者には遠慮してもらいたいというもの。家族葬は一般の葬儀とは違い家族や内輪だけで行うので、世間体や体裁を気にせず故人とのお別れがゆっくりできる。結婚式もそうだが、葬儀も盛大にやればいいというものでなく、小規模でも心のこもったもの、また家族が納得できるものが一番である。

今後はおそらく、親しい人のみで行う家族葬や世間や社会に告知せずごく内輪だけで通夜や葬儀、火葬を済ませるような密葬なども増えていくものかと思われる。

問題は、この訃報にどのように対処したら良いのか、ということである。弔電を送るべきなのか。先方は香典を辞退しているが、お知らせを受けたら渡すのが筋ではなかろうか。いや、先方からしたらそんなことはかえって迷惑となるのではないのか…。遠慮して欲しいという気持ちを汲み取るべきではないか。いやいや、いくら家族葬だからといっても何もしないというのはやはり非常識。しかし私の立場で何かをしたら家族葬にした意味がなくなってしまうのではなかろうか…。

さんざん悩んだ挙句、「もしご迷惑でなければお線香だけでもあげにいかせて頂くことはできないでしょうか。そちらのご都合が第一なので負担がかからなければの話ですが……」とメールをしてみた。すると「ありがとう。きっと母も喜びます。忙しいところご足労かけます」との連絡があり、訪問させてもらえる運びとなった。

しかしそこでまた気づくこととなる。自分があまりに愚かで無知だということを…。情けないことに、私が知っていることといえば、お数珠は左手で持つことと“御霊前”と“御佛前”の違いくらい。

香典の表書きは宗教によって異なるが、大半の仏教では人が亡くなると49日まで霊でいると考え、この時は“御霊前”、そして49日を過ぎると仏となるのでそれ以降は“御仏前”となる。この表書きを香典袋の白・黒の水引に“薄墨”を使って書く。ただし浄土真宗においては亡くなれば仏になるということで死後ずっと“御仏前”の表書きを使用する。

そして、気になったのがお線香のあげ方である。これまで祖父や親戚の葬儀に参列したことはあったのだが、そこでは参列者の皆と同じことをしていればよかった。宗教によりお焼香の仕方は違っても周りを見ていればわかる。人に習い、それに合わせた。しかし、今回は一人での弔問。49日前(仏様になる前)にご遺族のお宅に直接訪ねてお線香をあげに行ったことなどこれまでになかった。しかし、自分に経験がないからといっていい大人がここで失礼にあたるようなことをしてはならない。

弔問のマナーやその際の正しいお線香の上げ方ってあるのだろうか。先方の宗派はわからない場合はどうするのがベターなのだろうか。

“聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥聞かぬは一生の恥!!”
今回、北斎ゆかりの開運の寺、東京スカイツリーのたもと十間橋にある柳嶋妙見山法性寺の住職にお話を伺ってみると、こんな返事が返ってきた。

「ご友人のご母堂さまにお焼香に行かれますこと、誠意溢れる善行と存じます。神崎さんのそのお心が何よりのご供養になり、ご遺族にも伝わると思います。作法等、全くご心配には及びません。座布団があれば横にずらし、合掌して一礼し、お線香を一本心をこめておあげし、合掌して一礼して下さい。作法より、お心持ちが大切です。神崎さんのお心は、すでにお母さまやご友人に伝わっています。ご心配なさらずお出かけ下さい」

なんてありがたいお言葉。お心持ち。そうだ、その通りだ。弔問はお香典を渡すことでも、正しい作法をすることが目的でもない。相手の立場にたって考えること、相手が望むこと、望んでいるであろうことを想定すること。私はこのたび先方に負担をかけることだけは避けたいと思いお香典は持たず、日持ちするお菓子を用意して訪問し、心をこめてお線香を上げさせてもらった。

今の若い方は自分のご先祖様の宗教や信仰を知らない方が多いかと思う。また自分は無宗教と言ったり、イベントや行事に合わせて臨機応変に多宗教派になる人も多いかと思われる。しかし、葬儀においてそれは許されない。その故人の信仰が第一、宗派は生家に従う。宗派によって細かい作法は異なるだろうが、葬儀において恥ずかしいことや非常識なことをしないためにもある程度のマナーは知っておくべきだと感じた。

いい機会なので葬儀においてのマナーや残されたご遺族の方々に対し気をつけることなどがあればご教示いただけないかと、再度住職にお話を伺ってみたので参考にして欲しい。

「若くしてお亡くなりになられる方もいますし、100歳で大往生される方、突然の死、長い入院生活の末の死など。年齢、状況、ご遺族の覚悟や感情は千差万別です。まず、ご遺族のお気持ちを汲み取り、それに沿ったお悔やみ、会葬、訪問が肝要だと思います。ご遺族のお気持ちに共感し、心からご冥福をお祈りすることが最も大切です。会場によってもさまざまなご葬儀があり、経験も必要ですが、常識的な服装でお数珠をお持ちになればベターです。ご葬儀、お焼香の作法は会葬者の人数等でも左右されまちまちですが、お焼香は、まずご遺族に一礼し(両側にいらっしゃる時は、喪主側から)ご霊前に一礼します。そして御焼香を親指・人差し指・中指の3本でつかみ心を込めて1か3柱(ちゅう)し、ご霊前に一礼、ご遺族に一礼します。一礼の時、合掌されるとベストです。注意点は、決して慌てずゆっくりとした所作が肝要です。しかし、何と言っても気持ちの持ちようが一番大切。近年は、家族葬のような身近な方々でのご葬儀が増え、以前のように義理で参列される方は減っており、葬儀状況も変わってきていますので的確な状況把握も大事だと思います。でも、突き詰めますと、やはり気持ちの問題が一番で、これに尽きます」

……どんな葬儀においても気持ちが一番、故人への想いを込めることなのである。
(神崎桃子)

EDITOR

神崎桃子
体験型恋愛コラムニスト 大手ポータルサイトにて数々のコラムを連載中。男女のズレや生態、恋愛市場の時事問題は得意。文章セミナー、婚活セミナー講師も務める

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