小説『イニシエーション・ラブ』に学ぶ、遠距離恋愛のタブー

先月、傑作ミステリー小説『イニシエーション・ラブ』(乾くるみ著/文春文庫)の売り上げが100万部に達したそうだ。学生時代につき合い始めたカップルが、男性側の転勤で離れ離れになってしまう本作。遠距離恋愛あるあるネタ満載で、読み進めるうち、やってはいけない男女のタブーが浮き彫りになってくる。その中の3つを紹介していこう。

■1.一人の努力で乗り切ろうとしてしまう

“ 僕さえ努力すれば。/毎日電話する。毎週帰ってくる。彼女にはそう言おう。(P.139)”

主人公のたっくんは、遠距離の試練を一人の努力で乗り切る決意をする。なのに、自分から会いに来ない恋人マユに対し、徐々に恨みが募る。なぜなのだろう。
著者自身も同じような経験がある。高校3年生でつき合い始めた恋人と、卒業後に遠距離になった。筆者が大学受験に失敗して、浪人生活を送っていたときのこと……。大学に合格した恋人から、電話で大学生活の話を聞かされ……楽しそうで充実感いっぱいの恋人の様子にイライラが募ったものだ。
そのときは、自分だけが必死に努力しているのに、恋人は何も努力していないように思えて嫌気がさしてイライラしてしまった。でも恋人だって、新しい友人たちとのつき合いやアルバイトなど、いろいろと忙しいなかで毎週電話に出る努力をしてくれていたのだ。
「自分一人が……」と考えた瞬間から、相手の行動に対して盲目になってしまうもの。そこからお互いの気持ちのずれは生まれてしまう。

■2.病気になったとき、告白しつつも気丈にふるまってしまう

“ いい。驚かないで聞いてね。……僕、今入院してるんだ。お医者さんからは突発性難聴って言われたんだけど──今朝起きたら急に耳が聞こえなくなってたんだけど、それ以外はいたって健康だから(P.186)”

病気になると、精神的にも弱くなりがちだ。このことを恋人に告白すべきか、黙っているべきか。悩んだ末「告白しつつ気丈にふるまう」なんてことをしたら、完全にアウトだ。どんな小さな病気でも、遠く場所を離れた相手は心配してしまう。「驚かないで」と言われても無理だ。
とは言え、心配させまいと黙ったままでいるのもつらい。特に女性の場合、周期的に体がつらくなる時期がくるので、よほどの演技力がなければ毎回隠し通すのは不可能だろう。いっそつらい気持ちを全部伝え、相手に思いっきり心配してもらうといい。
著者の場合も、電話口で元気のない恋人の声を聞き、不安になったことがある。「どうしたの、どうしたの?」と半ば詰問のように聞いてしまい、答えてくれず。なんだか拒絶されるような感じで、電話を切られてしまった。「心配かけまい」がアダとなり、気持ちのズレを助長することになった最悪のパターンだ。
元気がないから元気づけてほしいのか、具合が悪いから話したくないのか、できることならハッキリ伝えたほうがいい。体調が悪いときこそ、二人の気持ちを合わせるチャンスなのだ。

■3.周りの異性に、恋人がいることを内緒にしてしまう

“僕は自分に付き合っている彼女がいるということは、特に宣言しなくてもいいはずだった。
そしてゲームの結果、石丸さんは僕に好意を寄せるようになった。(P.202)”

遠距離で最も不安になるのが、浮気の問題。実はこれ、意外と簡単に防ぐことができる。周囲の人間、特に異性に対して「恋人がいる」ということを宣言してしまえばいい。そうすれば周りから変に言い寄られなくなるだけでなく、ときには応援してもらえることもある。
逆に、黙っていると、もうその時点で浮気が始まっていると言っても過言ではない。
著者自身も予備校時代、同じクラスの女子に目移りしそうになり、困ったものだ……残念ながらと言うべきか、それでその子から言い寄られることもなかったが、こんなことでも気をつけたほうがいい。恋人との電話中にその子の話を出してしまって、あらぬ疑いをかけられることがあったからだ。
一方、恋人の方からも「合コンに行ってきた」という話を聞かされ、不安になったことがある。「もちろん、ただの遊びよ」なんて弁明されても、疑いは拭えなかった。

以上、こうしたタブーを回避し、つらい遠距離恋愛を乗り切ろう。ただ、ときにはあえて犯すことで、互いの関係を測ることも必要かもしれない――。
(平原 学)

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