英国王室に学ぶ本当のマナー ~ヴィクトリア女王のフィンガーボウル~

先日、テレビを眺めているとバラエティ番組でこんなシーンを見かけました。
「この中で一番正しいマナーはどれでしょう? それではシンキングタイムスタート!」うーんどれが正しいのだろう。真剣に考えていたのですが、正解が発表された後も何となく納得できずに、違和感を感じてしまいました。
 
普通に暮らしている私たち日本人が、ちゃんと考えても分からない、答えを言われてもあまり納得できないようなことが果たして本当にマナーだと言えるのか? そんなことが頭の中でぐるぐると回りました。
 
19世紀のイギリスの女王・ヴィクトリア女王の有名な逸話を知っているでしょうか? フィンガーボウル(手を使って食べる料理が出される際に、食べる前後で指を洗うための水の入った器)が使用された食事会に出席をしていた彼女。
 
招かれていたある国の貴族がフィンガーボウルの使い道を知らず、誤って中の水を飲んでしまったそうです。もしあなたが彼女だった場合どうしますか? 礼儀のない人だなあと、自らその間違いを指摘し、王子を笑い者にするでしょうか?
 
彼女は、来客に恥をかかせないために、それが指を洗う物であることを知りながらも、中の水を飲みました。もちろんそれは、とんでもないマナー違反だったでしょう。でも彼女の行動によって、王子はもちろん、その場の空気も和み、気持ちよい食事会を終えることできたわけです。
 
ある辞書によるとマナーとは「社会の中で人間が気持ちよく生活していくための知恵」と書かれてあります。どうすればより良い空気を作り出せるのか、その場に適切な対応を臨機応変にとるのが本来の意味でのマナーであるはず。だから、そもそも「こういうときはこうする」というルールになって、クイズで出題されるようなものではないのです。
 
近年、敬語が使えない若者というのがよく問題になっています。でも敬語だって本来は人との関係をよくするためのもの。ある男子学生は留年して同じ学年になってしまった周りの「元後輩」に、変わらず敬語で話され続けるのがとてもいやだ、とこぼしていました。年は上でもこれから一緒にがんばっていく仲間なのに、なにか距離を置かれたような気がしたといいます。
 
そうしたケースは特殊だとしても、付き合いが長く、年も近い先輩に対して、がちがちの敬語を使い続けるのはなんだか不自然。相手を敬いつつ、近い存在であることを示すような話し方の方がその人との良好な関係が築けるでしょう。
 
マナーとは結局、人と人が気持ちよい関係を築けるためにあるもの。昔のマナーに縛られてガチガチに行動するのではなく、しっかりと考えて振る舞うこと、その場その場で正しい空気を読むことこそが、現代人の「マナー」です。
 
必要最低限の礼儀を身につけた上で、いま置かれているシチュエーションではどうすべきかを考える。「こういうときは、こうするのがマナー」と学んでそれを実践していればいいのは、子どものうちだけ、ということです。
 
迷ったときにはぜひ、ヴィクトリア女王の気持ちを思いだして、フィンガーボウルの水だって堂々と飲めるくらい、気の配れる人になりたいものですね。
(五百田達成)
 
※取材協力=村山ゆい
 
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