人気韓国シネマ『ソニはご機嫌ななめ』主人公ソニに学ぶモテ女の絶妙な“隙”

女子はあまり納得できないけど、男子にやたらモテる女の子が時々いる。誰もが振り返るほどの容姿端麗って訳でもなく、とりたててオシャレでもない。ダイナマイトボディでもないし、あからさまに男に媚を売ることもない。それなのにモテる。なぜかモテる。

8月16日から公開される韓国映画『ソニはご機嫌ななめ』は、まさにそんなモテ女が主人公だ。大学の教授や先輩、元カレを虜にしながら、彼らの間を猫のようにすり抜けていく。本来、恋愛映画には主人公のヒロインに感情移入して笑ったり泣いたりするものだが、本作に限って、筆者はほぼ“観察”モード。というわけで、媚を売らずにモテる女の“技”(!?)を冷静に研究してみた。

まずはストーリーをご紹介しよう。

男性を次々落とし、一気に四角関係に?!


かわいいのだけれど、どこか小憎らしい主人公ソニは大学を卒業したばかり。しばらく誰にも姿を見せなかった彼女が、突然、大学に現れる。その目的はチェ・ドンヒョン教授にアメリカ留学の推薦状を頼むため、彼に会いに来たのだ(ちなみに教授は彼女に好意アリ)。その際、元カレのムンスに偶然出会い、酒を酌み交わす。その後は、ムンスの先輩でもある映画監督のジェハクと再会。彼と酒を飲み明かし、帰り際にはキスを……。一気に出来上がってしまった四角関係。誰もがお互いを知っている間柄、一体どうなってしまうのか?

■ソニが愛される理由 その1“隙”

主人公ソニは、アメリカに留学して私を試してみたい!と自分探しに夢中な女の子。別に「彼氏が欲しい!」と思っているワケではないのに、こんなにモテてしまうのはなぜか。その大きな理由のひとつは、絶妙な“隙”である。
何かに夢中になっている姿は誰でもステキに見えるもの。ただソニは、ちょっぴり危なっかしい。周りが見えているのかいないのか。言葉は強気なのだが、どこか傍で支えてあげたくなる“隙”があるのだ。ビジュアルも性格も良いのに「彼氏がいない!」と嘆く女性がいるが、大抵「君は(俺がいなくても)ひとりでもやっていけるよね」と言われてしまうパターン(涙)。ソニは、「彼女がイヤと言っても、俺が傍にいてあげなくては」と思わせる天才的な“隙”がある。

■ソニが愛される理由 その2“挑発的な言葉”

ひょっとしたらその“隙”は、本人は気づいていないかもしれない。だが、ソニは相手が自分に好意があるか否かはよーくわかっている。大学教授からの推薦状の内容にイマイチ不服だった彼女は、教授に改めて書き直してもらうべく再会場所を大学内ではなく、教授お気に入りの飲食店を指定。おいしい料理とお酒、そして挑発的な言葉で、教授をメロメロにしてしまう。
先輩でもある映画監督のジェハクに対しても、飲んだ帰り際、「今夜、私と寝たい?」なんて聞いてしまう。思わせぶりな態度や言葉じゃなく、突然(&絶妙なタイミング)ストレートに挑発的なことを言ってのけるので、相手はドキリ。しかも、かわいい顔でじっと見つめられたら、そりゃもう落ちるしかない。

■ソニが愛される理由 その3“キュンとするスキンシップ”

とはいえ、厳密に言うと“突然”ではない。その前に、さりげなくキュンとするようなスキンシップを実行しているのだ。たとえばジェハクと飲んでいる最中に酔っ払いながら、彼の頬を両手でムギュムギュっとしたり、大学教授の手をギュッと握ったり。そんなことを色目を使わず、無邪気な感じでやっちゃうのだ。しかも、日常のソニはタイトル通り、“ご機嫌ななめ”なことが多い。そんな彼女が気まぐれな猫のように甘えてくるワケだから、そのギャップに参ってしまうというワケ。

ロカルノ国際映画祭で監督賞&韓国でも話題に


本作を手がけたのは、ヨーロッパでも評価の高い韓国のホン・サンス監督。いわゆる“韓国”っぽいテイストとはまた違って、どこにでもいそうな男女の何気ないやり取りや日常を描き、恋愛の奥底に見える人間の真理を浮き彫りにするスタイルが人気で、ロメールやウディ・アレンなどと並べて評されることも多い。

まるですぐそばで彼らの友人がカメラを回しているかのようなリアルさでつづった本作は、第66回ロカルノ国際映画祭で監督賞を受賞。韓国では、ホン・サンス史上最大のヒットだったそう。主人公ソニには『トガニ 幼き瞳の告発』のチョン・ユミ。またホン・サンス監督のファンである加瀬亮主演『自由が丘8丁目』(12月公開)も待機中だ。

■さいごに

とにかくチョン・ユミ演じるソニの男心を捉える“絶妙”なセンスは抜群。ぜひ、見習ってあらゆる男を虜にしてみたいが、スキンシップや挑発的な言葉が自然に出来ない限り、とんでもない逆効果になる恐れが……(涙)。と、それはともかく、彼女は決して彼らをだますつもりはないので憎めないのだけど、男ってこんなに簡単に振り回されちゃうのね……と勉強にもなる(!?)。

何気ない男女の会話に、ドキッとさせられたり、その後の彼らについていろいろ考えてみたり、意外と真実はこんな日常の中に隠れているのかも。本作は、同監督作「ヘウォンの恋愛日記」(なんと、ホン・サンス監督のファンだというジェーン・バーキンがカメオ出演している!)も同時上映。2通りのラブストーリーを楽しんで。
(mic)

ソニのご機嫌ななめ』は、8月16日(土)よりシネマート新宿にて、8月30日(土)よりシネマート心斎橋にてロードショー

この記事を書いたライター

mic(ミック)
ねこ女優・シネマスタイリスト。コラム執筆、TV・ラジオにて様々な映画を紹介。舞台挨拶や来日記者会見のMCも。一方、女優としてひとり芝居や映画出演も

関連記事

今、あなたにオススメ