相手の心に響く「アイメッセージ」の秘密

あなたは、自分の思っていることや伝えたいことを相手にうまく伝えられていますか? 突然そう聞かれると、「もちろん!」と答えられる人は少ないと思います。自分の思っていたこととは違うように相手へ伝わってしまう。そんな経験は誰にでもあるはずです。
 
例えば、家族やパートナーがとても遅く帰宅してきたときの「心配」のシーンを考えてみます。

そういう場合はつい 
1、「こんな夜遅くまで(あなたは)何してたの?」

というようなセリフを言ってしまいがちです。

ところがこれが、 
2、「電話もメールもないし、(私は)すごく心配していたよ」
 
というセリフだとどうでしょうか。攻撃的な感じもなくなり、「心配」という気持ちが伝わりやすいのが分かると思います。
 
1のように、相手を主語にする表現は「ユー(You)メッセージ」、2のように、自分を主語にする表現は「アイ(I)メッセージ」と呼ばれています。これは、アドラー心理学で使われている表現の方法。
相手のことについてなにか言いたいときでも、あえて自分を主語にすることで、自分の思いが自然に伝わりやすくなる。それがアイメッセージの特徴です。
 
というのも、相手(You)を主語にすると、その時の事情や状況は関係なく、自分が相手を「責めている」イメージが強調されてしまうのです。また、響きとしてもどこか客観的で冷たく、まるで自分の言っていることが一般的にも正しいと主張しているかのような印象に。これが正論なのだから、従いなさい、と。

そうすると責められた人間は、反論したり怒ったりという方法で、自分を守るような行動をします。あるいは「そっちだって、遅くなることがあるだろう!」と反撃したり。こうなると、結局、お互いに嫌な思いをすることになりますし、本来伝えたかった「心配」という気持ちはうまく伝わりません。
 
一方で、自分(I)を主語にすると、それはあくまで自分の感想であり主観。その事情や状況に対する個人的な自分の意見であり、相手を責めているという印象はグッと少なくなります。「私はこう思うよ」「僕はそう感じる」と言うことで、正論を押しつけている印象はぐっと減ります。そうすれば、相手も自分を守る必要はなくなるので、「僕も悪かったよ」「今度から連絡するね」と、答えることができます。結果、「心配」という気持ちがダイレクトに伝わります。
 
ちなみに「アイ(I)メッセージ」は、相手を叱るのではなく褒めるときに使ってもOK。「君の努力は、素晴らしいね。」と言いたいところを、「君の努力には、感心するよ。私もがんばらないと」のほうが、「褒める」という気持ちがより伝わりやすくなります。
 
似たような話で、「君のためを思って言っているんだ」というのが、嘘くさく聞こえるのも同じ理屈です。あくまで自分が不快に思って改善して欲しいことを、「そういうことでは、社会人としてよくないよ」などと言って直させようとする人がいますが、ここもアイメッセージを応用して、「私はそういうのは嫌いだな」と伝えた方が、案外すんなりと改善してくれるものです。

相手に少し嫌なことを伝えないといけないときも、相手にとって嬉しいことを伝えるときも、いろんな場面で自分の「気持ち」をストレートに伝えることができる「アイ(I)メッセージ」。ぜひ、うまく使ってみてください。
(五百田達成)

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