好きな彼へ思いが伝わる展覧会?『リー・ミンウェイとその関係展』に行ってみよう

「誰かにそばにいてほしいなあ……」めっきり肌寒くなり、秋も深まってくると人恋しくなる女性も多くなってくる。
けれど恋人とはそう簡単にできるものではない。「好きだ」という気持ちを互いに確認し合えなければ、あなたと気になる彼とは特別な存在になることすらできないのだ。
これだけツールが発達した現代では、「好きな人に思いを伝える」方法はいろいろある。メール、LINE、電話、もしかしたらFacebookでのやり取り……などなどだ。
だがたまにはクラシックに「手紙で」、しかも「展覧会を利用して」好きな人の気持ちを確かめる、というのはどうだろうか。風情があり、しかも知的で、他人とは一味違う効果的な彼へのアプローチ……という訳だ。
今回はそんな「思いが伝わる展覧会がある」ということで潜入してみた。

展覧会なのに、自分からアクション出来る? 参加型アートとは


その不思議な企画は都会のど真ん中、六本木ヒルズ内にそびえたつ森美術館で行われている。「リー・ミンウェイとその関係展」。2014年9月20日(土)~2015年1月4日(日)まで、3カ月以上に渡り開催中だ。

「リー・ミンウェイさんて誰?」という女子のために簡単に説明すると、リー・ミンウェイ(李明維)氏は1964年台中(台湾)生まれ、現在はニューヨークを拠点に活動するアーティストである。

彼の作品には、
1.見知らぬ他人同士がそれぞれ信頼、親密さなどの意味を探ることを目的とした参加型インスタレーション(※空間全体を作品としたもの)
2.作家と観客が一対一で食事、睡眠、会話などの行為をともにするというイベント的作品
……という二つの特色があるのだという。

早い話が、彼は「見ているだけではなく、観客も参加できる作品を作る」アーティストで、今回は、彼の20年におよぶプロジェクトを一挙公開した展覧会なのだそうだ。

料金は一般1,500円(税込)だが、そのチケットを購入すれば同時開催の「MAMプロジェクト022:ヤコブ・キルケゴール」展と、六本木ヒルズ大展望台「東京シティビュー」にも参加ができるのでお得(※展望台最上階「スカイデッキ」へは+500円の別料金が必要)。

館内に入るとまず目に付くのは、「机の上に山積みされた布きれ」。どうやらこれも『プロジェクト・繕う(つくろう)』という、れっきとした作品らしい。この日は担当者が不在だったが、なんと「修理が必要な布製品を持ち込めばその場でアーティストやホストが繕い、会話をしてくれる」らしい!! しかも、ただ元通りに繕うのではなく、「そのモノに対する思い出や記憶をギフトとして贈りあう」のが目的なのだとか。小さい頃好きだったぬいぐるみなど持ち込めば、彼やホスト役の方とも思い出を共有できて一石二鳥……だが、縫い手が不在の日もあるので来館前に確認を。

型破りな作品に圧倒されながら進むと、次にいきなり、ちゃぶ台が出現する。
ただのちゃぶ台ではなくキチンと食器と座布団もセットされていて、今すぐ食事ができそうな勢いだ。もうお分かりだろうがこれも『プロジェクト・ともに食す』という展示品なのである。この「展覧会」の常識を覆すアートの真価を味わうのは、すこしの運が必要だ。これは、くじ引きを当たった人のみ、閉館後の美術館内でアーティストやホストと実際にに食事をしながら話合えるのだとか!

くじが当たってもアーティストと一対一での食事なので、デートで利用した場合なら彼にはどこかで待っていてもらわなければならないが、とびきり希少な体験ができるのは間違いない。彼との悩みをホストと共有するよし、対話のなかで自分を客観的に見つめ直すのもよし……。残念ながら筆者はくじ引きに当せんしなかったので、あなたにはぜひこの強運を引き当てて欲しい。こちらも詳細は来館前に問い合わせを。

恋する女子的に見逃せない最後の作品:『プロジェクト:手紙をつづる』


ここまで紹介した作品は、参加型ではあっても事前に確認が必要だったり、「ホスト役」がいなければ成り立たないモノだったりするが、最後の展示品は違う。
それが『プロジェクト・手紙をつづる』である。

この作品は、一見なにがなんだか分からない。展示も終盤に差し掛かったころ、いきなり巨大な障子ランプのようなオブジェが出現するのだ。
木枠と擦りガラスで三方を囲まれた、そのひとりかふたりしか入れない空間に足を踏み入れると、机と椅子がつつましく設置されている。上に載っているのはiPad……ではなく、懐かしい「えんぴつ」だ! さらに中をきょろきょろすると、木枠の内部のそこかしこには封筒がいくつも差しこまれている。
どうやら来館者がこの場でつづった手紙のようだ。傍らに貼られたこのプロジェクトの看板にはこんな説明がされている。

「ここにあるブースは、手紙を書き、そして読むためのものです。中に入るときは、靴を脱いで上がってください。壁にある手紙は、封がしていないものであれば、誰でも手に取って読めます。また、机の上にある便箋と封筒を使って、どうぞ手紙を書いてみてください。(中略)……もし手紙を送りたい人の住所がわかれば、封筒の表に書いてください。美術館のスタッフが代わりに投函(とうかん)しておきます」

この作品が、恋する女性にとって強力な味方であることがもうお分かりだろう。なんとこのプロジェクトを利用すれば、あなたの恋心を美術館が届けてくれるのだ!
「好きな彼に思いを伝えたいけれど、怖くてメール送信できない……」「自分じゃなにもできない……」という臆病な女子にこれ以上ないピッタリな企画なのだ。
彼への思いをつづり、他人に読まれたくなければ封をして、壁に差し込めばあとは野となれ花となれ。
彼からの返信が来るか来ないかは神のみぞ知る……といったところだが、SNS全盛のこのご時世だからこそ、こんな奥ゆかしいアプローチをする女性になら心をわしづかみにされてしまう男性は多いのではないだろうか。

また、このプロジェクトでは「封をしていない手紙は読める」ので、「他人が書いた誰かへの思いを直に読める」というめったにない経験も味わえる!
ひとがつづった手紙を盗み見るなんて……とドキドキしながら便箋を手にとると、そこには「誰か」から「誰か」への思いがあふれている。それは、観光客から日本への思いだったり、普段は言えない親への感謝だったりとさまざまだ。もちろんその中には恋文もあった。
『どうかこの見知らぬ彼女の思いが叶いますように』……と願いたくなるような素敵な文章だ。
そのスペースの中には電子機器には決して出せないなんともいえないぬくもりが確かにあった。あなたもぜひこの感覚を体感してほしい。

冬が来る前に、思いを彼に伝えよう!


このユニークな展覧会にはひとりで訪れて彼への思いを再確認してもいいし、気になる彼とふたりで来るのもおススメだ。その場合、互いに手紙を書きあって思いを確認するなんていうのもよいだろう。

ここに取り上げた作品のほかにも、ギャラリー内でもらった花を帰り道、見知らぬ誰かにあげるプロジェクト『ひろがる花園』や、まるでたくさんの玉手箱を開けるような楽しみのある『布の追想』という展示など、従来の展覧会には見られない「参加できるアート」が目白押しだ。リー・ミンウェイ氏を知らない人でも十分に楽しめる。

森美術館は改修工事のため、この『リー・ミンウェイとその関係展』終了後の2015年1月5日~2015年4月24日まで長期休館となるそうだ。改修前の美術館を最後に訪れるのにもいい機会だろう。
気になる彼に恥じらいながら純粋な思いを伝えて、二人で暖かい冬を迎えてみては?
(神崎桃子)

『リー・ミンウェイとその関係展: 参加するアート―見る、話す、贈る、書く、食べる、そして世界とつながる』

開催期間:2014年9月20日(土)~2015年1月4日(日) ※会期中無休
開催時間および参加型プロジェクトへの問い合わせは来館前にハローダイヤルへ要確認のこと
(Tel:03-5777-8600)

この記事を書いたライター

神崎桃子
体験型恋愛コラムニスト 大手ポータルサイトにて数々のコラムを連載中。男女のズレや生態、恋愛市場の時事問題は得意。文章セミナー、婚活セミナー講師も務める

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