ティム・バートン最新作『ビッグ・アイズ』は実在の女性の爽快な逆転劇!?

『アリス・イン・ワンダーランド』、『チャーリーとチョコレート工場』など独特のユーモアと世界観で常に私達を楽しませてくれるティム・バートン監督の最新作がいよいよ今日から公開される。

今回はどんなトンデモ世界に連れていってくれるのかと思いきや、最新作『ビッグ・アイズ』は今もご存命の実在の女性を描いたヒューマンドラマ。「え、意外!」と思われた方も多いかも? いったいどんな物語なのか。
日本のアニメも大きな目が特徴的。監督も、ビッグ・アイズは「日本のカワイイ文化と共通点があるね。」と語ったとか。
日本のアニメも大きな目が特徴的。監督も、ビッグ・アイズは「日本のカワイイ文化と共通点があるね。」と語ったとか。

ストーリー


1950年代、主人公マーガレットは、夫とうまくいかず、娘を連れて別居を決意。女手ひとりで生活するのが難しかったこの時代、得意の絵を描くことで何とか生計を立てていた。そんなある日、彼女が描く”大きな瞳(ビッグ・アイズ)の少女”の絵に惚れ込んだウォルター・キーンと出会い、恋に落ちる。
2人は結婚し、彼女が描く”ビッグ・アイズ”シリーズは、ウォルターの巧みな話術や宣伝力によってたちまち大人気に。しかし、そこには大きな”からくり”が。夫のウォルターがマーガレットの作品を”自分の作品”としてセールスしていたのだった――。

アメリカ、アート界で起きた実際のスキャンダル


ストーリーを読んで、昨年のS氏ゴーストライター騒動や現在放送中の中谷美紀さん主演のドラマ、『ゴーストライター』を思い出された方は多いだろう。
まさに本作はそれが絵画のジャンルで”夫婦の間”で実際に起こった話。 当時、アメリカでは大きく取り上げられたそうだが、たとえそれを知らなくても、あの事件が記憶に新しい私達としては、何だかドギマギ、妙なリアル感でもって迫ってくる。

しかも女性の筆者にとって、ウォルター・ キーンという男が、「彼について女友達と3時間くらいは余裕で話せる!」ってな人間で(どんなだ)、明るい、優しい、話術も巧みでコミュニケーション能力抜群。宣伝力や発想力にも優れ、人を惹きつける魅力もある……が、が、浅い! 自分のことを棚に上げて書いてしまうが、何かと想像力に欠ける深みのない男なのである。

一方、マーガレットは典型的なアーティスト気質。口下手で純粋に絵を描くことが大好き。そして、現代のように女性が職業を持つことが難しかった時代に、「女が描いたと言ったら絵は売れない。」という夫の言葉を信じて、自分が描いたことを誰にも言えないまま、ひたすら描き続ける毎日。
60年代のインテリアなどもティム・バートン監督らしいこだわりが。
60年代のインテリアなどもティム・バートン監督らしいこだわりが。

そんな2人の関係性や互いを想う気持ちが、時代や様々な出来事によって、次第に変わっていく。そのプロセスが時にサスペンスフルに、ドラマチックに、そして切なくも描かれ、果たして一体どんな結末を迎えるのか。まさに、気分は劇中に登場するビッグ・アイズ並に目を大きく見開いたままスクリーンに釘付けになってしまうのである。

実力&個性派キャスト達の華麗なる競演


60年代以降モダン・アートに絶大なる影響を及ぼした女流画家、マーガレットを演じたのは、『アメリカン・ハッスル』でアカデミー賞主演女優賞にノミネートされたエイミー・アダムス(『魔法にかけられて』のヒロインも彼女)。本作でゴールデングローブ賞主演女優賞を獲得している。そしてウォルター・キーン役を圧倒的な演技力で披露したのが、『イングロリアス・バスターズ』『ジャンゴ 繋がれざる者』で2度のアカデミー賞助演男優賞を受賞したクリストフ・ヴァルツ。超・実力派のふたりと脇を固めるこれまた実力&個性派なキャスト陣の演技も大きな見どころだ。

さいごに


そもそもティム・バートン監督自身がマーガレット・キーンの大ファンなのだそう。“ビッグ・アイズ”シリーズを愛し、コレクターでもある彼は、彼女の持つ世界観や生き様を丁寧に描き、私達にアートを愛する心や当時のアメリカを取り巻く芸術環境についても教えてくれる。
アート好きな方は、バートン監督の作風にも共通するマーガレット・キーンの芸術性や当時のアートシーンに触れるという点からも楽しめるだろうし、ゴシップ好きな方は当時のスキャンダルをちょっぴり野次馬気分で楽しむのもまた良し。恋愛ムービー派の方は、道を踏み外してしまった男の哀れな顛末を見届けながら「こういう男と結婚したら」なんて鑑賞後に盛り上がるのも面白そうだ。
エンドロールには、現在も作品を描き続けている実在のマーガレット・キーンとエイミー・アダムスとの2ショットも披露される。
女性が今のように自由に活躍することが難しかった時代に、最後まで自分らしく生きることを諦めなかった彼女の生き様やスカッとさせてくれるラストの逆転劇は、きっと多くの女性が勇気づけられるに違いない。
(mic)

『ビッグ・アイズ』は2015年1月23日(金)より全国ロードショー
(C)Big Eyes SPV, LLC

この記事を書いたライター

mic(ミック)
ねこ女優・シネマスタイリスト。コラム執筆、TV・ラジオにて様々な映画を紹介。舞台挨拶や来日記者会見のMCも。一方、女優としてひとり芝居や映画出演も

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