女の子に生まれてよかった! 春に鑑賞したい女子アート【イラストコラム】

春めいた日が増えてきて、うずうずしますね。今回は寒さで固まっていた心を溶かしてくれるような、女の子向けのイベントを2つご紹介しましょう。
まずは芦花公園にある世田谷文学館で開催されている「岡崎京子展 戦場のガールズライフ」。
世田谷文学館で開催されている「岡崎京子展 戦場のガールズライフ」
世田谷文学館で開催されている「岡崎京子展 戦場のガールズライフ」

80〜90年代にかけて活躍していた漫画家、岡崎京子さんの大規模な回顧展です。彼女は『pink』や『リバーズ・エッジ』、沢尻エリカさん主演で映画化された『ヘルタースケルター』といった作品で知られていますが、1996年に事故にあってからは休筆されています。岡崎さんの漫画に出てくるオシャレでエキセントリックな(そしてどこか冷めている)女の子像は、80年代にあっては新しくセンセーショナルでした。筆者はときどき単行本を読み返しますが、いまだ読むごとに新鮮な驚きがあり、彼女の作品世界にあらためて魅了されてしまうのです。
女の子に生まれてよかった! 春に鑑賞したい女子アート【イラストコラム】の1枚目の画像

岡崎さんは、都会に住む女の子の欲望や不安をちょっと過剰なくらいに描写します。それまでの少女漫画が、女の子のフワフワした夢を描いてきたのとは対照的に、「モテたい、オシャレしたい、楽しいことがしたい、もっともっとキレイになりたい、カッコよくなりたい、そして真実の愛がほしーーい!」といった女の子のホンネのホンネを、圧倒的なエネルギーで紙の上にぶちまけます。それは女の子の生きる力そのものと言ってもいいかもしれない。

一方で彼女はその欲望を追った結果、主人公が引き受けなければいけない代償や孤独までをも、冷酷なまでに描き出します。漫画に描かれた女の子は、決して架空の世界の都合のいい主人公ではありません。岡崎漫画に出てくる「時代に翻弄される女の子」は、私たちがもしかしたらそうなっていたかもしれない、リアルな姿でもあるのです。
女の子に生まれてよかった! 春に鑑賞したい女子アート【イラストコラム】の2枚目の画像

展示はデビュー前の作品から、時代ごとに並べられています。漫画原稿、イラスト原画、文章、関連資料等々、合わせて数百点。それはそのままファッション史や流行りものの歴史、文化史を見ているようでもあり、彼女がいかに時代というものを切り取ってきたのかがわかります。壁面には、作品からぬきだされた印象的な言葉がところどころに配置されているのですが、筆者がもっともグサリときた言葉は以下のものでした。「鏡にうつる自分が好きか、他人の目にうつる自分が好きか」。

じっくり見ること3時間(!)。展示からは「女に生まれたのって、めんどくさいし、正直しんどい。でもやっぱり楽しいこともたくさんあるし、なんだかんだで最高だよね!」という岡崎さんの声が聞こえてくるようでした。

「岡崎京子展 戦場のガールズライフ」世田谷文学館にて3/31まで。

次にご紹介するのは、1966年にチェコの女性映画監督ヴェラ・ヒティロバーによって製作された「ひなぎく」という映画です。乙女心のツボをつきまくるキュートなビジュアルから「女の子映画の金字塔」とも言われていて、日本でも何度かリバイバル上映されてきました。2014年にヒティロバー監督が没したことを受けて、3/7から渋谷のシアター・イメージフォーラム他で上映がはじまります。
女の子に生まれてよかった! 春に鑑賞したい女子アート【イラストコラム】の3枚目の画像

映画の冒頭で、姉妹とおぼしき女の子2人が決意をします。自分たちは役立たずでまったくダメな存在だ、だからこれからいろんなイタズラを世の中にしかけてやろう、と。
あくる日から、2人は年上のオジさまをたぶらかしたり、ナイトクラブを滅茶苦茶にしたりと、悪事の限りをつくします。その小気味よさ、2人のファッションの可愛らしさ、セットのセンス、実験映像的な面白さには、何度観ても心うばわれます。一見カワイイ映像の裏側には、当時のチェコの政治情勢における反逆のメッセージが含まれているのですが、その意味は全部わからなくとも充分に楽しめる作品です。

「『ひなぎく』ヒティロバー監督追悼 アンコール上映」3/7〜 シアター・イメージフォーラム他 

以上、2つのイベントをご紹介しました。
両方とも、「私たちはここにいるのよ!」という女の子の叫びが聞こえてくるような展示であり映画です。なお、「岡崎京子展」の半券を提示すると、シアター・イメージフォーラムでの「ひなぎく」が100円引きで観られるようです。
(アオノミサコ)
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この記事を書いたライター

アオノミサコ
イラストレーター/漫画家。美容から神事、ディープスポット巡り等の漫画やコラムを執筆。著書『わがままセラピー入門』(KADOKAWA)

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