条件は理想的だけど…「思いやり」のない彼女と結婚できる?

発言小町に「見合いで良い方に出会えましたが…でも…」という投稿が寄せられました。
トピ主さんは30歳代前半で研究職の男性。結婚相談所で知り合った女性と4カ月ほど交際しています。彼女は明るく、共通の趣味もあり話も合うし、家庭環境も仕事への理解も申し分ない。“理想通り”と思える相手だそうです。ただ最近、彼女に対し、「自分に無関係の問題はどうも他人事だし、思いやりのない性格なのでは?」と感じるようになり、わだかまりを感じています。

目次

“わだかまり”の正体は?


トピ主さんは今回のお相手に惹かれた理由について、彼女の実家の家庭環境が好ましいことと、研究職という自分の仕事や立場をよく理解してくれている――という2点が大きなプラスポイントになったとのこと。大恋愛という感じではないものの、もともと「恋愛と結婚は別」と考えているということもあり、「年齢、知性、趣味などの面でもすべて問題ない彼女となら、結婚生活をやっていけそうだ」と感じて、トピ主さんは交際を始めたようですね。

しかし、交際を続けるなかで、何か“わだかまり”を感じるようになってしまった。その気持ちの正体について詳しく考えていきましょう。

まず、「自分に無関係の問題には他人事で、思いやりをあまり感じない」とのことですが、例えばタクシー運転手さんやレストランのウエイターさんに横柄な態度をとる人を“思いやりがない”というのと、自分に関心を持ってくれない人を“思いやりがない”というのでは、意味が随分違ってきます。

トピ主さんが引っかかっているのは、明らかに後者。「会って間もない人にそこまでの親密さを求めてもしょうがない」などとつづってはいますが、「心配(してほしかった)というか、普通はもうちょっとなんかあるだろうと思った」「相互扶助というのは義務に近く、欠かせない」とも表現しています。簡単に言い換えるならば、これは「彼女ともっと親密になりたいし、優しくしてほしい。もっと自分に関心を持ってほしい」ということではないでしょうか。風邪をひいている彼女に対し、「自分から伝えてほしかった」というエピソードも、心通い合う愛情関係を求めているからだろうと感じました。

彼女の態度について、「病院勤めという仕事柄ではないか」「まだ心を閉じているのかも」などと推測していますが、もしかしたら、彼女はトピ主さんよりも「恋愛や結婚に淡白なタイプ」で、彼女のほうがより“割り切って”結婚をしようとしているのかもしれません。

トピ主さんは「時間が経てば、愛情や信頼関係が育つかもしれない」と考えているようですが、これも確実ではないでしょう。まだ交際4カ月とのことなので、期限を決めて、様子をみてもいいかもしれませんね。「彼女とはやはり、思いやりあえる関係になれそうにない」と分かったら、お断りして別の方を探すか、「条件が申し分ないので、それでも彼女がいい」と考えて結婚するか、決断するといいと思います。

「好意」と「恋愛感情」の違いは?


とはいえ、何度も長電話をしたり、10回以上も会っていたり、何より結婚前提での交際をOKしたことを考えれば、彼女のほうも少なからず、トピ主さんに「好意」はあるのだと思います。でももしかしたら、それは「恋愛感情」ではないのかもしれません。

「好意」と「恋愛感情」の違いは、米国の社会心理学者・ルービンが実験により導き出しています。例えば「好意(Like)」は、相手を尊敬し、信頼し、高く評価しているといった感覚。一方の「恋愛感情(Love)」は、相手を助けたい、独り占めしたい、いつも会いたい、といった感覚だとされています。「あなたを信頼しているし、高く評価しているけれど、いつも一緒にいたい、助けてあげたいなどとはあまり思わない」という場合、通常、友情止まりの関係になることが多いです。

トピ主さんが“わだかまり”を感じた一番の理由は、まさしく、恋愛感情と定義される「自分を助けようという気持ち」が彼女になかった、という点ですね。「相互扶助が必要」と書いていますが、トピ主さんの心には、「彼女を助けてあげたい」という気持ちがあるでしょうか。もし、トピ主さんのほうは多少なりともそう思っていて、彼女は思っていないということであれば、トピ主さんのほうが、より恋愛に近い感情を抱いているのかもしれません。もし、トピ主さんにもそうした感情がないのであれば、お互いに割り切って、自立しあった友だち感覚の結婚をするかどうか、考えてみるといいと思います。

「結婚と恋愛は別」と言いながらも、心では愛情を求めている人はたくさんいます。心の結びつきのある結婚生活を望むのであれば、「条件面だけ考えていると、相手を見つけにくい」ということは心得ておきましょう。「好きで盲目になりました(という結婚)は避けたい」とのことですが、「大恋愛でなくとも、せめてもう少し思いやりあえる関係を」と思うならば、交際相手の探し方などについて、一度考え直してみてはどうでしょうか。

「自分に似た相手」にこだわらなくてもいいのかも?


トピ主さんと彼女の父親は同じ職業だし、彼女自身との職種も近い。似たような家庭環境で、同じ趣味もある。トピ主さんは今回、“自分と似た相手”を選んだのだと思います。「職業柄」という記述から、もしかしたら彼女の自立した性格というのも、「トピ主さんと似ている部分があるのかな?」と推測しました。

「似ている者同士のほうがうまくいくのか(=類似性)、違う者同士のほうがうまくいくのか(=相補性)」――そんな議論には、さまざまな意見があります。ただ、こと結婚生活においては、さまざまな共同作業が必要なため、お互いの足りないところを補い合えるという点で、「相補性」のほうが重要だという意見もよく耳にします。

似た相手にこだわるのもいいですが、もしその視点で探しても良い相手に巡り合えない場合には、「自分と違っているからいいのかも」という視点で見ていくのもおすすめです。またトピ主さんは、「自分の仕事は、似た環境の人じゃないと理解されない」と思い込んでいるようですが、決してそんなことはないと思いますよ。「仕事の内容はよく分からないけど、大変ね」と深い思いやりを示してくれる女性もきっといるだろうと思います。

結婚は人生の一大事。“わだかまり”を抱えたまま結婚するのは賢明な選択ではないと思いますので、ぜひじっくり考えてみてください。納得のいく結婚ができますように。応援しています。
(外山ゆひら)

この記事を書いたライター

外山ゆひら
対人関係、心や生き方に関する記事執筆が中心のフリーランスライター。読売新聞が運営する「発言小町」の相談コラムや、「恋活小町」を担当する。文芸、カルチャー、エンターテイメント方面を日々ウォッチしている。

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