破局はチャンス! 別れの絶望から再スタートを切る方法3つ

結婚を意識した相手と破局を迎えてしまったとしたら、年齢問わず誰もが人生の絶望を味わうものだ。
コミックエッセイ『「結婚」を手放したらかえってラクになりました』(カタノトモコ/メディアファクトリー)も、そんな絶望からスタートする。30歳で同棲していた彼氏と破局した著者。いつか彼にプロポーズされ、子どもも2人産んで…という、ひとりよがりで描いた道は閉ざされてしまう。しかしそれを期に、思い切って大阪から東京まで引っ越すことに。
彼女の生き方から、破局から立ち直り、女性が改めて一人で生きていく方法を学んでみよう。

目次

思い出の品はぜんぶ捨てる! ゼロからの自分でスタート


東京への引っ越し作業中、荷物だらけでどこから手をつけていいかわからなくなりかけた著者。
"捨てよう 全部捨てる 家具も…彼との思い出も 真っ更な私で ゼロからの私で 生活をスタートするんだ"
そう決意を固め、次々と荷物を処分し出す。せっかくの心機一転なのに、モノで過去の思い出にとらわれていては意味がない。
ただ、家具まで捨ててしまっては、むしろマイナスでは? と思う部分もある。けれど、これがかえって経済的。荷物が減るので引っ越し代が節約できるのはもちろん、物を選別するストレスが無いのは大きい。
必要なものは東京で探し直そうと考えれば、また新生活への新たな楽しみも生まれるというものだ。

新しい人々との出会いで孤独を上書きする


上京して半年、スマホを紛失してしまった著者。一時、誰とも連絡が取れなくなり、改めて自分の孤独を思い知らされる。けれどそんな彼女を救ったのは、漫画の担当編集さんの言葉だった。
"私はカタノさんが東京に来てくれて こうやって会って話ができること すごくすごく嬉しいんですよ!"
まだ半年。離れてしまった人々のことを恋しく思ってしまう時期ではあるが、新しい場所での新たな出会いも増えてくるころだ。仕事のつながりなど、身近なつながりを広め、深めていくこと。それを続けるうちに、自分の居場所もできてくる。どこに住む、どこで働くかは関係なく、たいせつなのは人なのだ。

仕事、趣味、恋愛…やりたいことを自由に書き出す


上京して9ヶ月、これからは"自分でワクワクを作っていこう"と思い立った著者。まず取りかかったのは、やりたいことを紙に書き出すことだった。
"同業者の友達を作る"、趣味に関しては"リコーダーやピアニカなんかもやってみたい!! "などなど。
自分がやりたいことなら、多少ワガママな望みでも書いてみることが重要だ。そうすることで、叶えられないと思っていた夢も叶えられるかもしれない。
実際、著者はこのあと知人らと一緒にリコーダーを始めることになる。頭で漠然と思っているだけでは、なかなか人に言い出せない。仮に誘われてやることになっていたとしても、それほど感動しなかったかもしれない。「本当にやりたいことだったっけ?」と、三日坊主で終わってしまうこともある。書き出すことがモチベーションにもつながるのだ。

絶望から始まりながら、夢あふれる締めくくりを迎えるこのコミックエッセイ。決して「結婚を手放し、一人の道を突き進むべし」とは語っていない。
"「手放せた」というか「解放された」んです。"と、あとがきにはある。恋人との破局を絶望と感じてしまうのは、それまで付き合ってきた相手との生活に束縛され、他に無限に広がっている道が見えなくなってしまっているからだ。
破局というものは、その無限の可能性を選び直せるチャンスでもある。絶望を感じるよりも、本書の著者のような行動を少し真似しながら、新しい希望の道を選び直してみてはいかがだろうか。
(平原 学)

写真はアマゾンより『「結婚」を手放したらかえってラクになりました』(カタノトモコ/メディアファクトリー)

この記事を書いたライター

平原学
1985年佐賀県生まれ。作家・ライター・小説家。妻から「私より女子力高い」と言われているのが悩みの種。著書に『ゴオルデンフィッシュ』(文芸社)がある。

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