気になる彼から突然突き放すような態度を取られてしまう理由

先日、28歳会社員の女性・Tさんの恋愛相談に乗った。
彼女が気持ちを寄せていた相手は、同じ会社で、よく構ってくれる年上男性。LINEなどを駆使して彼に猛烈アピールするが、なかなか気持ちに気づいてくれない……。それどころか、だんだん突き放すような態度に。

「どうして私のこと心配してくれなくなっちゃったんですか!?」
――あるとき電話で聞くと、その日お酒を飲んでいた彼は、酔いも手伝ってついにTさんを傷つけるようなセリフを吐いてしまった。

「面倒くさいんだよ! 君は、一生幸せになれない!」

この恋は、もう終わってしまったのか。だとすれば、何がいけなかったのだろう。

目次

終わったどころか始まってもいない。アピールだけでは恋じゃない! 


まず、「猛烈アピール」という点について。「それは、直接"好き"って言ったの?」とTさんに尋ねると、「"好き"とは言ってないんですけど、でもたぶん、伝わってるとは思うんですよ」。
残念ながら、男性として言わせていただければ「いや、きっと伝わっていないよ」である。
男性が、女性からの誘いを自分への好意だと勘違いしやすいのは、思春期まで。28歳のTさんより年上が相手なら、さすがに誘いを受けたぐらいで、それを好意とは受け止めてくれない。それどころか、「この子は、その気もないクセに俺に勘違いさせたいのか?」などと懐疑的になってしまう。
男性はいくつになっても、相手の気持ちを察することがとことんニガテだ。好きなら「好き」とハッキリ言ってくれないことには恋愛感情なんて示してくれない。むしろ「好き」と言ったって、「どうせ冗談だろ」などとあしらう場合も。鈍感すぎる生き物なのだ。
Tさんが反省すべきは、「言わなくてもたぶん伝わっている」という気持ちでいた点だ。男性に気持ちを伝えたければ、伝えすぎなぐらいでちょうどいいのである。

疎遠になりかけた相手に怒りをむき出しにするのはNG!


次に、Tさんが「どうして私のこと心配してくれなくなっちゃったんですか!?」というセリフを相手にぶつけてしまった点について。まるで恋人に向かって言うような言葉だと思ってしまった。
気持ちは「たぶん伝わっている」と言っていたTさんのことだ。「すでに恋人同士」という幻想に浸ったまま、ウッカリ口を滑らせてしまったのだろう。
ただ恋人同士であれ、片思いであれ、微妙な関係で怒りをぶつけてしまうのは得策じゃない。相手の方だって、「こんな言われ方しなきゃならないなら、やっぱり付き合うのも終わろう・別れよう」となってしまう。
前項目で「伝えすぎなぐらいがちょうどいい」と書いたのは、まだ始まってもいない相手に対して。終わりかけの相手には完全に逆だ。
なるべく怒りの感情は隠しながら、「さいきん、あまり気にかけてくれないけど……なんだかちょっとさびしいな」とアピールしてみよう。彼も、「あれ、ちょっとカワイソウなことしちゃったかな……」「かわいいアプローチしてきたな。ちゃんと優しく返してあげねば」と、気持ちを入れ替えてくれることだろう。

酔っぱらって暴言を吐いた彼は悪い。けれどその気持ちも考えてみて


最後に、「面倒くさいんだよ! 君は、一生幸せになれない!」という彼のセリフ。さすがにこれは相手が悪かったと言うべきだ。しかしそう言ってしまった彼からすれば、やはりしつこいTさんからのアピールに、かなりストレスを感じていたのだろう。
また、酒を飲んでいるとわかって感情をぶつけてしまったTさんも、タイミングが悪かった。重い話は、なるべく相手の体調や精神状態が安定しているときを選ぶべきだ。必死で残業をしている最中や、病気で寝込んでいるときなどもまたしかりである。

今回の相談について、飽くまで男性側に立って、いろいろ意見を述べてみた。Tさんには少々かわいそうなことを言い過ぎた感もあるが、もちろん彼女だけが悪いのではない。
酒を飲んで女性に暴言を吐くのは、男性としてあまり誉められたものではない。そんな彼と付き合えば、酒が入るたびに文句を言われていただろう。そう考えれば、彼と付き合わなかったことはラッキーと思うべきかもしれない。
いずれにしても、今回の片思いの反省は、きっとまた次の恋愛にも活かせるはずである。次回こそ、マトモな恋愛関係が築けることを願うばかりだ。
(平原 学)

この記事を書いたライター

平原学
1985年佐賀県生まれ。作家・ライター・小説家。妻から「私より女子力高い」と言われているのが悩みの種。著書に『ゴオルデンフィッシュ』(文芸社)がある。

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