黙るが吉? 女性の「怒り」に対する男子の本音

"女性は怒りたいことがあるから怒るのではなくて、怒りたいから怒っているのだ。そして怒りたいときに怒らせておかないと、先にいってもっとひどいことになるのだ。"

作家、村上春樹さんの言葉だ。女性は怒りを溜めこみ、あるとき前触れもなく一気に爆発させることがある。
そのとき男性はどう思い、どう対処しているのか。この問題について悩める男性の声が多数収録されているQ&A集「村上さんのところ」(村上春樹/新潮社)から紹介する。

目次

家にいるのがキツイ


"奥さんが(中略)機嫌が悪いときって本当家にいるのがキツイですね"と愚痴のような相談を送っている45歳・会社員の男性。それに対し、村上さんも同情しながら答える。
"よくわかります。それは世界中の夫の92パーセントくらいが、同時進行的にひしひしと経験していることです。"
92パーセントという数字に根拠はないだろうが、少なくとも私は納得した。私の知人で「亭主関白」と呼ばれる方も、しばしば奥さんの機嫌が悪くなって、逃げ出すことがあるという話を聞いたからだ。さすがに家から出て行くことはなくても、代わりに自分の部屋に閉じこもる。そうして楽器など自分の好きなことを始め、現実逃避してしまうのだ。

理屈の通らない状況で混乱し、対処できない


続いて、47歳・男性。彼は結婚して数年経ち、奥さんに怒られる中で、ようやく冒頭の村上さんの言葉を理解できるようになったと言う。しかしこういうときに、どう対処すればいいかわからない。
私も妻と出会って何年も経ち、そうした状況には何度も出くわした。泣いて謝っても聞き入れてくれない。
だが一方で、我が母と結婚40年近くを迎えようとしている父の場合は、謝るどころかだんまりを決め込み、言われるがままだった。幼いころは「情けない父だ」と思ったものだが、今では見習いたい。実際に自分が同じ立場に立たされたら、そうするしかないとわかったから。

村上さん流の解決策は、たった2つ


さて、では村上さんに習う解決策とは。"切り抜ける方法は二つしかありません"と、次のふたつを紹介している。

"1,これは自然現象なのであって(嵐とか竜巻とか噴火とか)、あきらめるしかないと思う。
2.とにかく平謝りに謝ってその場を切り抜ける。"

解決方法と言いながら、何も解決していないのがポイントだ。そもそも解決しようがない問題なのである。
逆に女性の立場から言ってしまうと、あなたが何か夫に訴えたいことがあって怒ったとしても、彼らはそれをただの「自然現象」としかとらえてくれていないと思った方がよい。
もし女性の方から真剣に何か訴えたいことがあった場合は、こうした怒りにのせて言うのは無意味だ。日々の会話の中で冷静に伝えていただければと思う。
また、怒りをパートナーにぶつけられないでいる女性は、相手の気持ちなど考えず、大いにぶちまければよい。そうしないといつまでもストレスがたまったままである。
ただ、これだけは忘れないでほしい。気分がスッキリしたら、ちゃんとパートナーに一言、「ごめん、ちょと言い過ぎた」と謝ること。それさえ守れば、きっとけんかが耐えないながらも、長続きするカップル・夫婦になれることだろう。
(平原 学)

この記事を書いたライター

平原学
1985年佐賀県生まれ。作家・ライター・小説家。妻から「私より女子力高い」と言われているのが悩みの種。著書に『ゴオルデンフィッシュ』(文芸社)がある。

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