人間不信に陥りやすい人の傾向と対策

発言小町に、「信用ができない」という投稿が寄せられました。
トピ主さんは、40代前半の男性。過去の交際経験から、女性を恋愛対象として信用できなくなってしまいました。今も2人きりで飲みに行くこともあるし、「なんで結婚していないのかが不思議」と言われることもありますが、「女性と付き合っても、最後にはお預けくらってさよならになるんだろうなぁ」などと思い、冷めた気持ちでいっぱいになってしまうとか。最近では「このまま独身もいいかな」と考えることもあるそうですが、「どうやったらまた女性を信用できて、付き合おうという気持ちが湧きますか?」と問いかけています。

目次

「異性を信じられない」という人、こんな傾向はない?


恋愛の経験は、いろいろなことを私たちに与えてくれますが、大きな悲しみや痛みを経験すると、“おそれ”も生まれますね。「あんな痛みを二度と味わいたくない」という思いから、次の恋愛に一歩踏み出せなくなるという人は、決して少なくないようです。そうした人の話を詳しく聞いていると、以下のような傾向があるのかなと感じます。

(1)異性を“善悪”で判断しようとして、答えを急いで出したがる
(2)いつも似たようなタイプの異性と仲良くなる
(3)「煩わされたくない」という思いが強い

まずは(1)から。「異性を信じられない」という人は、裏切られることへの“おそれ”がありますので、「この人は自分を傷つける人ではないか?」と構えて異性と接することが多くなります。でも、そんなふうに疑いの心を抱いたまま、人と付き合うのは疲れますよね。そのため、とにかく急いでその相手を「善か悪か」と決めつけたがる傾向があるようです。

しかし、人間には多かれ少なかれ善悪どちらの面もありますし、人間関係に等しく言えることですが「人と関わる喜び」を得たいのであれば、裏切りや傷つきもありえる覚悟でそこに飛び込まなくてはなりません。特に恋愛は関係が密ですし、異性どうしですので、いろいろと解しがたい出来事が起こる可能性はあるでしょう。異性にいいイメージを持てないならば、まずは友人関係からリハビリをしつつ、恋愛を始めるときは「裏切りは起こり得るものだが、起こったときに考えることだ」と腹を決め、無理なく少しずつ心を開きながら、時間をかけて仲を深めていくことが大切かと思います。

続いて、「異性を信じられない」という人の中には、毎回似たタイプの異性に惹かれ、関わろうとする人も少なくありません。生まれ持っての“好み”もあるのでしょうが、上記のような努力をしても毎度裏切られるという場合、「選ぶ異性と人間性が合っていない」という可能性も考えられます。過去を振り返って「自分に合う人・合わない人」の傾向を見出し、今までと違うタイプの異性も視野に入れていくのも有効ではないでしょうか。

最後に(3)について。投稿には、「めんどくさくなるぐらいなら……(独りのほうがマシかも)」「逃げているんですよね」という記述がありますが、「面倒だから」と異性と深く関わったり向き合ったりすることを無意識に避けていると、同じように相手に深入りしたがらない異性を引き寄せたり、せっかく良さそうな人と知り合っても、なかなか関係が育っていかなかったり――そんなケースもあるようです。人と関わることには、少なからず「面倒」がつきまといます。でもそこに大きな喜びがある。「他人に煩わされること」から完全に逃げてしまうと、恋愛は難しいように思います。

終わった恋愛を“失敗”と思わなくていいのかも


投稿には、過去二度の交際経験がつづられていました。そして、「付き合っても最後にはお預けくらって、さよならになるんだろうなぁと思う」というトピ主さん。「終わりよければすべてよし」なんて言葉にあるように、別れ際の印象が悪いと、いい思い出にはなりにくいですよね。1人目のときは、彼女の浮気が原因とのことで、特に印象悪く終わってしまったのかもしれません。

それでも、過去の恋愛を“失敗”だと思う必要はないように思います。どんな交際にも、必ず「いいとき」はあるもので、心が通じ合い、お互いだけを見ていた時期もあったはず。残念ながらそれは続かず、望まない結末となったとしても、「よかった時期」のことまで否定する必要はないのでは。結婚をゴールとするならば、ゴールまでは至らなかったものの、人生の中の貴重な数年間を一緒に歩んだ相手です。そのことには感謝しつつ、「でも、もう過去のことだし」と忘れて無関心になっていくことが、最もトピ主さんのためになる姿勢だと思います。

それに、過去を“失敗”と捉えると、「失敗したくない」という気持ちにもなりやすいものです。ちゃんと“成功”していた部分もあった……そう考えてみませんか。2人の女性と心を通い合わせ、何年も幸せに交際できたトピ主さんが、またそのような機会に恵まれる可能性は十分にあるのではないでしょうか。反省点だと思うところは反省して、しかしそれ以上自分を責めないことです。過去について“焦点”を当てる部分を変え、「二度も結婚できなかった」ではなく、「二度も異性を真剣に好きになれたし、好きになってもらえたんだ」と考えて、未来への力に変えていきましょう。

「自分が幸せになれること」を強く信じてみよう


2人目の彼女には4度もプロポーズをしてやっと了承してもらったものの、「ずっと引き伸ばされていた」というトピ主さん。交際の先に明確に「結婚」を目指しているならば、今後の交際は、最初から結婚前提で始めるのも有効かもしれません。トピ主さんと同じように結婚に意欲がある女性を探すということですね。

ただし、「結婚してうまくやっていけそうな相手」「愛せそうな相手」ではなく、あくまでも「大好きな相手と結婚したい」というのであれば、そのような方法では難しいかもしれません。焦らずに時間をかけて、ゼロから恋愛関係を育てていく必要があるでしょう。

世の中には、1回の交際で結婚に至る人もいれば、10回交際しても結婚に至らない人もいます。性格も影響するのでしょうし、運や状況、生い立ちや環境など、理由はさまざまあるでしょう。しかしどうあれ、「自分は幸せになれる」と自分自身が強く信じない限り、それはやってこないようにも思います。「信じられる異性を探す」のではなく、「自分は絶対に幸せになれる」という信念を強く持っていれば、今後は異性と関わっていく過程の時々で、自分を幸せにするための、最良の選択をしていけるのではないでしょうか。

そして、興味を持てる女性に出会ったら、期待過剰にならず、できる範囲でお互いを思いやれる関係を目指してみましょう。さらに、心から好きだと思う相手が現れたときは、「自分が好きな人を信じなくてどうするんだ?」と自分の“思い”を強く信じてみる――それが結果的に相手を「信じられる人」に育てていくことだってあるでしょう。人生は一度きり。何よりも「今」を大切に……。応援しています。
(外山ゆひら)

この記事を書いたライター

外山ゆひら
対人関係、心や生き方に関する記事執筆が中心のフリーランスライター。読売新聞が運営する「発言小町」の相談コラムや、「恋活小町」を担当する。文芸、カルチャー、エンターテイメント方面を日々ウォッチしている。

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