「男嫌い」になってしまう理由とそこから脱する方法とは

都合のいい存在になった、こっぴどく振られた、不誠実な態度をされた……。恋愛でつらい経験が積み重なると、「男(女)嫌い」や「恋愛不信」になってしまうこともありますよね。それでも、まだ一抹の希望は胸のなかにあり、異性に完全に無関心になる人は少ないのではないでしょうか。心の底では幸せな恋愛をしたい気持ちが残っているならば、「男(女)嫌い」の状態は脱したほうが絶対に自分のため。そのためのヒントを考えてみました。

目次

「男(女)嫌い」になってしまう理由は?


まず、「男(女)嫌い」になってしまう理由には、以下3つの点があるのではと分析します。

(1)誠実に接してもらえなかった悲しみを、相手側のせいにして納得しようとする心理(=『合理化』)
(2)「自分に誠実な面を見せてくれない相手」を、何度も好きになってしまう傾向
(3)違う価値観を持った相手を受け入れられない心理

まずは(1)から。結婚詐欺師や美人局の被害を受けたり、もともと札付きの相手に遊ばれてしまったりしたならば、相手側を全面的に糾弾したくなって当然ですよね。そのように、世の中には最初の最初から相手をだますつもりで近づいてくる100%の「悪い男(女)」もいるものですが、実際には、恋愛関係を進める途中で心変わりした、好意の分量の差で力関係が生まれてしまった、別れ際の不誠実があった……などの理由で、”結果的に”裏切りになってしまったと、いう例も少なくなかったりします。

現在大ヒット中の映画『ヒロイン失格』では、この点を非常に考えさせられます。たとえば、山崎賢人さん演じる「利太」。彼はシャイで不器用な、優しすぎる男子です。作中では、一途な姿も見せます。しかし、悪い見方をすれば、2人の女性の間で優柔不断にフラフラしているし、幼少期のトラウマを理由に「自分は空っぽ」「自信がない」などと言って、女子の母性本能に甘えているようなところもあります。

一方、坂口健太郎さん演じる「弘光」は、基本的にはチャラ男で、どんな女子にもいい顔をするモテる男子です。そのくせ心の中では冷めていて、どの女の子とも真剣交際はしません。しかしそんな彼も、本当は初恋相手を忘れられないために、チャラ男ぶっているだけだったりする。作中では本気の恋をして、改心もしていきます。純粋な一面も持っているのですね。

つまり、Aちゃんからすれば「悪い男」「優柔不断で腹黒い男」に見えても、Bちゃんから見れば「誠実な男」「一途ないい男」だったりするのが恋愛の真実。人には色んな側面があって、好きな異性には「誠実な側面」が自然に出てくるし、「この人には嫌われてもいいや」と思うと、「不誠実な側面」を見せてしまうこともある――。

誠実な面を見せてくれない相手ならば、「去る」というのが幸せになる唯一の選択ですが、好きになってしまうとそう簡単ではなく、その苦しさや悲しみを、相手の人間性のせいにしたくなるのが人間心理。『すっぱい葡萄(ぶどう)』という逸話でも有名ですが、手の届かない場所になっている葡萄を、「あんな葡萄は、すっぱいに違いない!」と非難したくなるのが常なのですね。

そんな心理を理解し、「男(女)嫌いになったのは、自分に誠実な面を見せてもらえなかった悲しみが理由なんだな……」と自覚するだけでも少し違ってくるかも。そうすれば(2)のようにはならず、「次こそは、自分に誠実な面を見せてくれる相手を選ぶぞ!」とも思いやすいはず。「自分を思ってくれない相手を、切なく追いかけるのが恋愛」だと思い込んでしまい、それを繰り返しては異性を恨む――そんなパターンにハマり込むのも避けられるかもしれません。

「何が優しさ」かは人それぞれ。価値観の違いを受け入れる


続いて(3)について。価値観の違い、たとえば「何を優しさと考えるか」なども、人それぞれ違いますよね。別れを告げるときだって、「はっきり言うのが優しさ」と思っている人もいれば、「曖昧にフェードアウトするほうが、ダメージが少ない」と考えている人もいます。上述の映画でも、既に心が離れてしまっているのに「絶対に別れたくない」という彼女の気持ちを汲んで、利太がダラダラと交際を続ける場面があります。それが彼なりの優しさや責任の取り方だったりするわけで、「自分だったら、そうはしない」と思っても、「そういう考えの人なんだな」と受け止めるしかない。「自分と違う価値観の相手を受け入れること」が恋愛の大事なポイントだとしたら、相手の価値観を全面否定してばかりでは、どんな相手とも、恋愛をするのは難しくなってしまうのかもしれません。

もちろん、実際の世の中には「自分が一番かわいい」という思いで行動している人もいるでしょう。でも本当にそんなに身勝手な相手ならば、「当たった相手が悪かった」と割り切るのが最善。同性であれば、性別が同じでも、人の性格は百人十色なことはよく理解できますよね。1人や2人の異性に不誠実な態度を取られても、異性全員を嫌いになる必要はない。誠実な側面を自分に向けてくれる人は、必ずこの世のどこかにいるはず……というか、そんな相手は既に身の回りにいたりして、でもそういう異性は視界に入っていないことも多いんですよね(笑)。そういう相手を好きになれたら、幸せはすぐそこ、かもしれません。

つらい失恋をしたときは、しばらくは「男(女)なんて!」と叫んで気持ちを晴らすのもいいと思います。でもそれが原因で「男(女)嫌い」にまでなってしまいそうなときは、ぜひ上記のようなこと、考えてみてはいかがでしょうか。
(外山ゆひら)

この記事を書いたライター

外山ゆひら
対人関係、心や生き方に関する記事執筆が中心のフリーランスライター。読売新聞が運営する「発言小町」の相談コラムや、「恋活小町」を担当する。文芸、カルチャー、エンターテイメント方面を日々ウォッチしている。

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