夢を追いかけている無職の彼氏を、どうやって応援すればいい?

発言小町に「夢を追う無職の彼氏」という投稿が寄せられました。

トピ主さんは30歳の会社員。5年間交際している29歳の彼がいますが、彼は作家を目指して仕事を辞め、この2年間は働かずに実家で暮らしているそうです。しかし、トピ主さんには彼が毎日だらだらと過ごしているように見えてしまい、イライラしてきつい言葉で叱責してしまうこともあるのだとか。「怠惰で卑屈になっていく彼氏を見ているのがつらくなってきた」「作家になれる可能性はほぼないと思っているのが後ろめたく、どうやって彼を応援する気持ちを持てばいいのかわからない」といい、今後についてのアドバイスを求めています。

目次

何にイライラしているのか、具体的な理由を考えてみよう


夢を追いかけている恋人を持つと、楽しいこともあれば大変なこともありますよね。その大変さには、主に3つあるかと思います。

1.金銭面


彼はこれからフリーランスになるということですよね。今はもう「会社にいれば絶対安泰」という時代でもないですが、とはいえ比較するならば、やはりフリーランスの働き方のほうが先々の収入の見込みは立ちにくいかと思います。もちろん、安定した収入を得ている人も数多くいますが、身近にそういう例がない場合、「収入を安定的に得続ける方法」が傍目にはわからないため、恋人としては「大丈夫なの?」と不安にはなりやすいかもしれません。

2.精神状態


作家のような職業は仕事量に波があることが多く、精神的に不安な状態になることもあるでしょう。「産みの苦しみ」のなかで、他人にやさしくする余裕がない時期もあるかもしれません。そういう時期は、側にいるパートナーとしても心配ですよね。見守る側の忍耐力も必要となるように思います。

3.生活時間


フリーランスの場合決められた就業時間があるわけではないので、「夜中に仕事をして昼間に眠る」のも自由です。真夜中に打ち合わせがあったり、土日祝日でも仕事をしたりする機会もたくさんあるでしょう。会社勤めの人に比べると毎日のスケジュールが不規則にはなりやすく、一緒に生活するにあたってはストレスを感じる方もいるかもしれません。

「怠惰で卑屈になっていく」「特別努力するでもなく、毎日だらだらと過ごしているように見える」といった記述を見る限り、トピ主さんが感じているストレスは主に2や3から来ており、彼の毎日の過ごし方や精神状態が原因と言えそうです。

“結果”が出ていないから、彼も後ろ暗い気持ちなのかも……


もしかしたら、彼はトピ主さんの見えないところで頑張って書いているのかもしれません。でもきっとその様子が見えないから、苛立っているのですよね。彼の作品を何か目にすることができれば、「彼なりに頑張っているんだな」と少しは肯定的に思えそうですよね。彼も「興味を持ってもらえている」と感じるのは嫌ではないでしょうし、調子のよさそうなときに「今はどんなテーマを書いてるの?」なんて聞いてみるくらいはいいのではと思います。ただし、あくまで敬意は忘れずに。「書いたものを見せてよ」と強迫的に迫ったり、こっそり覗き見たりするのはやめるべきでしょう。

退職後2年経っていますし、作品が完成していなくても彼は頭の中でアイデアや構想くらいは温めているのではないでしょうか。もしかしたら、本当はいろいろと書いて文学賞などにも応募しているものの、目に見える結果が出ないためにトピ主さんに言えないでいる……なんて可能性も考えられます。

男性は見栄やプライドを大事にする人も多いですし、好きな女性には「過程」より「結果」を賞賛してもらいたがる傾向もあります。結果が出せない自分が情けなくて、トピ主さんの前ではわざと努力をしていないフリをしている、なんてことだってあるかもしれません。このあたり彼がどう考え、どういう態度をするかについては、5年間見てきたトピ主さんのほうがわかる部分があるかもしれませんね。

“いつまでも今の状況が続くわけではない”ことは確か


彼は本気で、作家として「食べていこう」と考えている。であれば、何年かのうちにある程度の見込みは立つでしょう。いつまでも今と同じ状況が続くわけではない、ということです。成果が出れば万々歳ですし、成果の出ないまま年齢を重ねていけば、いずれ彼自身もなんらかの形で現実との折り合いをつけようとするのではないでしょうか。今は応援している両親だって「そろそろ現実を見なさい」と諭し始めるかもしれません。

夢を追いかける人のなかには、途中で「食べていけない」と気づき、一旦、別の職業で収入を安定させてから、再び夢に挑戦し始める人もいます。作家さんのなかには60歳を過ぎてデビューされるような方もいますし、別の仕事をしながら書き続けていくことも可能なので、そのあたりは彼の選択になるでしょう。結婚を急いでいるわけではないトピ主さんの場合、「彼が頑張っているなら、あと1~2年は見守ってみよう」などと決めてみるのもいいかもしれません。

また、実家にいてお金にも困っていないから、彼はダラダラしているのでは……という環境面も気になっているようですね。確かに、人は現状への危機感や不満があったほうが、奮起する傾向はあります。とはいえ、恵まれた環境にいても自分を追い込める人はいますし、安定した環境にいたほうが、いい作品を生み出せる人もいます。「あえて退路を断って挑戦すること」がプラスになるかどうかは人それぞれでしょう。

夢を追いかける恋人の、最適な“応援のしかた”は?


最後に応援のしかたについて。トピ主さんには結婚願望はないものの、彼とは「とても気が合うので、なるべく一緒にいたい」と思っていて、彼のほうは「いずれ結婚したいと考えている」とのこと。それを目標にする形で促すのも良策かもしれません。人は何か背負うものがあることで奮起できることもあります。「早く一緒に暮らしたいから、私のためにも頑張ってよね!」なんて明るく激励するのもひとつです。

さりとて、あまりに激励されすぎても、またつらくなってくるのが人の心理。このあたりは彼の様子を見ながら、「アメ(そっとしておく)」と「ムチ(激励)」を上手に使い分けていってみてはいかがでしょうか。イライラして叱責してしまうくらいなら、いっそ彼の作家活動には“無関心”を貫き、「自分の収入は自分でなんとかしているならOK」というスタンスで付き合っていったほうが、うまくいきやすいように思います。

「私の存在は彼氏をダメにしているだけなのでは」という記述もありますが、彼が本当に頑張らずにダラダラしているのであれば、トピ主さんの立場でできるのは、「このままなら別れる」と真剣な意思を伝えて危機意識を持たせることくらいでしょう。彼の将来のためにあえてそうする……という選択肢もありますが、トピ主さんは別に「作家志望の彼だから好き」というわけではないのですよね。であれば、「作家になれてもなれなくても、彼はなんとかやっていくだろう」と信じてやっていくのも一案です。夢が叶っても叶わなくても、いつか「あんな時期もあったよね」と笑って思い出せる日がくるかもしれません。

この時期を乗り越えられるかどうかは、一生モノの関係になれるかどうかの分かれめだと思います。頭で理解しようとしても心が納得できないならば、あるいは正直な気持ちで「彼の生き方に失望した」「勤め人だったときの彼が好きだった」と思うならば、無理をする必要はありません。彼という存在が、トピ主さんにとってどのくらい特別なのか……。その思いの強さが鍵になってくると思います。
(外山ゆひら)

この記事を書いたライター

外山ゆひら
対人関係、心や生き方に関する記事執筆が中心のフリーランスライター。読売新聞が運営する「発言小町」の相談コラムや、「恋活小町」を担当する。文芸、カルチャー、エンターテイメント方面を日々ウォッチしている。

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