“これは恋なの?” 自分の気持ちが分からないときに考えたいこと

「私は自分から恋心を持てている?」という投稿が、20代前半の女性から発言小町に寄せられました。

今まで自分から恋心を持ったことがなく、交際経験もひとりというトピ主さんですが、最近初めてちょっと「気になる感じ」の男性ができたそうです。「友達として仲良くなりたいのか、恋人になりたいのかはわからないけれど、疎遠になりたくない」と思いながらも、一方で、彼には苦手な面もあり、「深入りしたくない」と思う瞬間もある。「ぼんやり居心地が良いこの感じは恋心なんでしょうか?」と問いかけています。

目次

恋する“きっかけ”を作れなくても、いい関係は築ける


世の中には、自分から恋することが得意な方もいれば、そうではない人もいますよね。自分が一方的に好きなだけで愛されない関係や、逆に好かれるばかりで自分は何も思わない、そんな関係を経験する方もたくさんいます。叶わない片思いにも喜びや学びはありますし、一方的にでも誰かに愛されることで得られる満足感もあるものですが、多くの人は、“お互いに等しく恋し恋される(愛し愛される)関係”を最も望んでいるのではないでしょうか。

しかし、両者が最初から同じタイミングで、同じ熱量でひかれ合う……という出来事は、そう頻繁には起きないですよね。個人差はありますが、ほとんどは人生で数回程度しか起こらないことのように思います。であれば、「どちらから好きになったとしても、結果的に愛し愛される関係になれるならば、それで十分に幸せなことだ」と考えてみるのも一案。付き合ってからいい関係を築くことを大切にして、「最初のきっかけがどちらか」には特にこだわらない、ということです。

今までは、「相手からのアプローチに気づかず、告白されてから意識し始める」「告白された後で気になり始めるが、自分からアプローチできず、そのまま終わってしまう」というケースが多かったというトピ主さん。気持ちの上下が少ない性格で、その他の人間関係においても比較的、受け身なスタンスの方なのかもしれませんね。それでも、きちんと交際に至れた経験もあるとのこと。トピ主さんのように、自分から恋愛の“きっかけ”を作るのが少し苦手な人でも、そこから愛情や信頼関係を育んでいく力があるならば、あまり恋愛への苦手意識を持たなくてもいいように思います。

世の中にはいろんな人がいて、いきなり気持ちをアクセル全開にできる人もいれば、気持ちの立ち上がりが遅い“スロースターター”もいます。最終的な目標が「愛し愛される関係を継続すること」だとすれば、後者のほうが持久力を持っている、なんてことも少なくありません。自分から好きになれないことをマイナスに思わず、「いろんな恋愛の始め方がある」と考え、自分の性格に合った方法でやればいい……なんて考えてみるのもおすすめです。

「傷つく怖さ」を越えられないと、自分からの恋は難しい!?


とはいえ、「自分から恋心を持つ感覚ってすごく良いなと憧れている」という気持ちも、なんとなく分かります。「誰かに熱烈に恋する気持ち」は、人生で一度くらい経験してみたいものですよね。

一般的な傾向で言えば、「自分から恋すること」が不得意なのは、傷つくことへの恐れが強い人に多く、逆に「好かれること」が苦手なのは、自分に自信を持ちきれない人が多いです。もちろん、全員がそうというわけではありませんであしからず。

トピ主さんには、「内心、恋愛で傷つくことがとても怖い」という気持ちがありますか? 「来るもの拒まず去るもの追わずの性格なので、基本的に一人行動になってしまう」という記述もありますが、そういったタイプの人のなかには、「他人とは結局わかりあえない」といったある種の諦めがあり、あまり人に執着をしないようにしている人もいます。過去に傷ついた経験からそのようなスタンスになっていく人もいれば、他人のそういう生き方に憧れたり、自分にはこれが合っていると感じたりして、自ら望んでそうしたスタンスを身につけていく人もいます。

「傷つく怖さがあっても、自分から人を好きになってみたい」「今の恋愛スタンスを変えてみたい」と思うならば、少しばかりの勇気を持って、チャレンジしてみるといいかもしれませんね。

ただ、ひとつだけ気をつけてほしいのは、万が一うまくいかなかったときに、ネガティブな“悟り”を会得してしまうこと。頑張った恋愛がうまくいかなかったときには、「ほらね、やっぱり」「どうせ私は恋が向いていない」「自分らしくない無理をしたからだ」などと自暴自棄になってしまう人もいます。そしてそれ以降、恋愛に対してさらにドライに、かつ消極的になってしまうことも。チャレンジには失敗もつきものです。たとえうまくいかなくても、頑張って挑んだ自分を好きになり、得られた学びをまた次の恋で生かしていけるような、前向きなチャレンジにして欲しいなと思います。

“恋”だと認めきれない気持ちを、今は素直に受け止めてみよう


さて、「気になる感じ」という彼についてですが、投稿では「その人に褒められると鳥肌が立つ」「私も彼もとても好意や興味を持ってることをお互いに伝えあっている」「ぼんやり居心地が良い」といった紹介がされています。どうやら彼のほうも、トピ主さんに好意を持っている様子。見込みのある片思いならば、ひどく傷ついたり、つらい思いをしたりはしなくて済みそうですね。

「これは恋心なんでしょうか?」とのことですが、トピ主さんが彼にひかれているのは間違いないと思います。ただ、それを100%認めてしまうと、不安も芽生えてくるし、傷つくリスクも負うことになる。自分からの恋で傷ついた経験がないため、無意識にそのハードルを超えることを恐れている……といった可能性もあるのかなと思いました。

今はまだ、「疎遠になりたくない」という気持ちを認めるくらいで精一杯なのかもしれませんね。「苦手な面もあり、深入りしたくないなと思うこともある」というのも、初めての恋心に戸惑い、無意識に恋愛への抵抗感が芽生えているからかもしれません。彼を全面的に信頼していいものか、本当に好きになっていいものか、まだ迷いがあり、判断しかねているのでしょう。

この先、関係が深まっていけば、相手の嫌なところも愛おしく思えたり、個性として許容できたりすることも出てくるでしょうから、そのあたりは焦って白黒つけようとせず、じっくり見ていけばいいと思います。この先、彼のほうから少しずつでも歩み寄ってきてくれれば、トピ主さんも今よりも安心して、素直に「彼が好きだ」と言えるようになるのではないかなと推測します。

その後の投稿には、読者から寄せられた意見を受けて、「吟味しすぎたり、考えすぎたりしていた」「気楽に彼と沢山お話してみようと思う」という心境が書かれています。そうですね、今はまだそれくらいの気軽な心構えで接するのがよさそうです。恋だと意識し始めるとどうアプローチしていいか分からくなり、途方に暮れてしまうだけかもしれません。「この気持ちは恋だ!」という結論を急がず、「疎遠になりたくない」「人として好きだな」という今の気持ちを大切にしながら、肩の力を抜いて付き合っていくといいと思います。

その過程のなかで、「たとえ傷ついても、友達以上の深い関係になりたい!」という気持ちが高まってくるかもしれませんし、逆に「やっぱり深入りしたくないな」と気持ちが盛り下がってくるかもしれません。どちらになるかは今後次第ですが、“そのとき”がくれば恋は自然にスタートすると思います。焦らず急がず、ほのかに芽生えた気持ちを大切に温めていってみてくださいね。
(外山ゆひら)

この記事を書いたライター

外山ゆひら
対人関係、心や生き方に関する記事執筆が中心のフリーランスライター。読売新聞が運営する「発言小町」の相談コラムや、「恋活小町」を担当する。文芸、カルチャー、エンターテイメント方面を日々ウォッチしている。

関連記事