恋人と“会いたい”と思わないのは、変ですか?

20代後半の男性から、発言小町に「会いたいと思わないのはそんなにヘン?」という投稿が寄せられました。「ひとり行動は余裕」というトピ主さんは、「恋人と会うのは半年~1年に一度くらいでいい」と本気で思っているそうです。

しかしこの価値観が周囲に理解されることは少なく、異端児扱いをされたり、恋人から切実な表情で「会いたい」と言われたり、友達から「大して好きじゃないんでしょ」などと言われたりして、つらい気持ちになることが多いとか。「会わなければ好きじゃないと決め付けるのはなぜ?」「会わなくても平気なスタンスを分かってくれる方、私も同じという方はいますか?」と読者に問いかけています。

目次

恋人に求めるものは人それぞれだけど……。


恋愛へのモチベーションは千差万別。会いたい頻度も人それぞれで、毎日会いたいという人もいれば、「月に一度程度で平気」という人もいます。とはいえ、「恋人と会うのは年に1回か、それ以下でもいい」という価値観は確かに珍しく、びっくりされることが多いかもしれませんね。

「会わないからと言って、相手のことを好きじゃないわけではない」というトピ主さん。投稿には「相手の事は大好きで、人としても異性としても惹かれている」「相手に何かあったら、損得勘定なく駆けつける」「離れていても心は通じている、というのが理想」「相手が元気でやってる事が分かればそれでいい」「放置はするけど見放さない」といった記述が見られます。恋人とは、会わなくても信頼関係が維持できていればそれでいい、いざというときに助けあえればOK……といったお考えがあるようですね。

非常に自立してクールな考えのように見えますが、のちの投稿には「単に束縛するのもされるのも嫌なだけ」「好きな時に好きなだけ好きな事をしたい」「すがり付かれると面倒くさく感じてしまう」といった本音も書かれています。恋人のことは好きでも、恋愛に自分の時間を割くのがもったいない――そんな考えも持っているようです。トピ主さんにとっての優先順位は、「自分の時間>恋人や恋愛にかける時間」ということになるでしょうか。

「恋人に会いたいと何度か言われれば応じる」けれども、「心変わりをされても仕方ない」といった記述もあり、特定の相手への執着も少ない様子。「自分のスタンスを変えるくらいなら、恋愛を継続しなくていい」というスタンスを持っているようにお見受けました。

“恋人と会うこと”のハードルを下げるためには……?


非常に強い信念を持ち、自信に満ちた方のように思えますが、しかし一方では、気になる記述も。「相手にも相手のペースがあるし、と考えると、逢わなくていいやと思ってしまう」「相手は何が楽しくて私に会いたいなんて言うんだろう…理解不能」「相手にとって意に添わない内容のデートになり、貴重な時間を無駄にしてしまったら悪いなと思う」といった部分です。トピ主さんは、他人といるときの“緊張感”が強いタイプのようですね。特に好きな異性だと心的負担が大きく、そのためにデートや会うことが億劫(おっくう)になってしまうのかもしれません。

一般的に、人の心に「緊張感」を作り出しているのは、以下のような感情です。

1.ダメな自分、かっこ悪い自分を見せたくない(相手のそうした面も見たくない)
2.他人に「良く思われたい」「評価されたい」という気持ちが強い
3.自分に自信がない


「自分の時間を優先したい」というトピ主さんですが、もしかしたら「つまらないデートをして、つまらない奴だと思われたくない(相手のことも思いたくない)」といった思いも、無意識に持っているのかもしれません。世の恋人たちは、デート内容はどうあれ「一緒にいるだけで楽しい」と思える部分があるから会うのだと思いますが、トピ主さんの場合は「失敗したくない」「自分といて楽しいのか?」といった猜疑心が強すぎて、疲れてしまうのかも。もう少し自分や相手を信頼し、リラックスして臨むことができれば、もう少し気楽に会えるようになるような気がします。

また「(今の恋人を)いつ見ても素敵だなと思う」という記述もありますが、素敵だと思えない日があっても、それはそれでいいように思います。どんな恋人でも、長く一緒にいれば多少相手に幻滅することもあるし、許せないと思うことも出てくるし、喧嘩をしてしまう日もある。それでも、相手といて「楽しい」「幸せだ」「やっぱり素敵だな」と思う瞬間があるから一緒にいる。それが多くの恋愛の“リアル”ではないでしょうか。

そうした人間どうしのぶつかり合いが面倒で、ほどよい距離で付き合いたい――ということであれば、今のところ、トピ主さんは恋人や恋愛に真正面から向き合いたい、という気持ちが薄いのかもしれませんね。それでも「恋人という存在がいないよりはいたほうがいい」と考えるならば、できるだけご自身と近しい恋愛観を持った異性を探すのが、現状の最適解ではないかと思いました。

恋人選びの“基準”を変えてみてもいいかも!?


「恋人よりも、共通の趣味がある友達やノリの良い性格の友達と会う回数のほうが多い」というトピ主さん。彼・彼女らとであれば緊張感も少なく、時間も無駄だと感じずに気軽に「会おう」と思えるのであれば、そんな関係の異性のなかから、恋愛相手を考えてみるのもひとつ。今までよりも、「会うこと」が負担にならない恋人ができるかもしれません。トピ主さんと同様のタイプで、友人感覚の女性と結婚して円満にやっている例もいくつか知っています。

最後に、今回の投稿を読んで、恋人たちが「会いたい」と思う理由を改めて考えてみました。相手をもっと知りたいから。自分のことを分かってくれる相手とたくさんおしゃべりをしたいから。相手の顔を見ると元気が出るから。身体に触れて安心感や幸福感を得たいから……といった理由が一般的でしょうか。基本的には、人と関わりたい気持ちが強いほど、そして相手に興味関心が強いほど、「会いたい」という気持ちは強くなるような気がします。もし今後、「トピ主さんがものすごく興味を持てる相手」「面倒でも、関わりたいと思う“何か”を持っている相手」と付き合うことがあれば、「会いたさ」にも変化が出てくるかもしれませんね。

また、人は多少面倒な気持ちがあっても、「相手から何か得るものがある」と思えば、自分の時間を使おうとする傾向もあります。エゴイスティックに聞こえるかもしれませんが、それもまた他人と関わる動機のひとつ。一緒にいるときに「温かい気持ち」だけでなく、「価値ある情報」や「自分が成長できる要素」など、なんらかの刺激ももらえる異性と付き合ってみると、「会いたい」と思う機会も自然に増えるかもしれません。

何が正解かは人それぞれですが、「会うのは年に一度でいい」と考えに賛同してくれる相手を見つけるのは、なかなか大変だろうとお察しします。そういう相手を探し続けるのもひとつの方法ですが、今後の人との出会いのなかで、ご自身の価値観が変わるきっかけもあるかもしれません。「自分はこういう人間だから」と頑なになりすぎないようにいるといいのではと思いました。ご自身にとってストレスの少ない、満足度の高い恋愛ができるようになるといいですね。ささやかながら応援しています。
(外山ゆひら)

この記事を書いたライター

外山ゆひら
対人関係、心や生き方に関する記事執筆が中心のフリーランスライター。読売新聞が運営する「発言小町」の相談コラムや、「恋活小町」を担当する。文芸、カルチャー、エンターテイメント方面を日々ウォッチしている。

関連記事