「30歳なのに結婚せず留学」は間違ってますか!?

発言小町に「女30 婚活すべきなのか」という投稿が寄せられました。30歳になり、「自分なりのタイミングが来たので、会社を辞めて留学を計画中」だというトピ主さん。しかし友人に話したところ、「信じられない!安定した正社員なのに、貯金も使って留学して帰ってきたら再就職だよ?」「幸せには結婚が不可欠。諦めちゃダメ!」などと心配されたそうです。トピ主さん自身は、長年の夢だった留学にワクワクしているし、結婚を諦めたつもりもないそうですが、同じ世代の同級生にそう言われたことに驚いたとか。「私が今留学しようとすることは、そんなにおかしいでしょうか」と問いかけています。

目次

優先順位は人それぞれ。最優先にしたいことを考えてみよう


30歳のトピ主さん。この世代の女性には、さまざまな選択肢がありますよね。たとえば彼女のアドバイスどおり、長年の夢だった留学を我慢して婚活に取り組み、うまくいって結婚や出産をしたとします。そこで幸せを得られたならば、トピ主さんは「やっぱりあのとき留学しておけばよかった」と思うことは無いでしょうか。あるいは逆に、これから希望どおり留学をして、数年後に日本に帰ってきたとき。留学そのものには満足していても、パートナーがいなければ、「やっぱりあのとき婚活しておけばよかった」と後悔をすることは無さそうでしょうか。

すべての面で納得のいく人生を送ることは難しいでしょう。そのなかでも、後悔少なく生きるためには、自分が「本当にこうしたい」と選んだ道を精一杯に歩み、できるかぎり満足いく日々を作り出していくこと。これに尽きると思います。

「永住しようとまでは考えていないけれど、海外で働く最後のチャンス」だと考え、留学を希望しているトピ主さん。「結婚したら一生、留学できない」というわけではありませんが、パートナーや家族を持つと、なかなかその夢を叶えづらくなるのは事実です。一方で、「今婚活をしなければ、どんどんチャンスが減る一方」とご友人が言うように、一般的には、少しでも年齢が若い時期のほうが結婚のチャンスそのものは多いと言えるかもしれません。

つまるところ、今回のお悩みは「優先順位」の問題。たとえば、「今の私にとっては留学が最重要」「相手もいない今の状況で、婚活を一番には考えられない」と思うならば、まずは「留学」を最優先と考え、結婚願望は持ちつつも、そのための進路変更はしない。「留学先でも相手を見つけることはできる」「留学は1年と決め、帰ってきたら婚活しよう」などと考えておくのも一案です。

あるいは友人の言うとおり、今は「婚活」を最優先で行い、留学については<1>完全に諦めるのか、<2>留学に理解あるパートナーを探すのか、それとも<3>遠い将来に目指すことにするのか等を考える。「遠距離や別居に相手が理解を示してくれ、行けそうだったら行く」程度に優先順位を下げる、という選択もあります。

本気で心配してくれる友人がいるのは、ありがたいことですよね。それでも、人生における優先順位は人それぞれ。ある人は「留学したほうがいい」と言うでしょうし、ある人は「婚活すべき」と言うでしょう。どちらを選んでも、順調なときには「こちらを選んでよかった」と満足し、不調なときには「あちらを選べばよかった」と後悔する瞬間があると思います。しかしそのときに、「だけど、私は自分の意思でこちらを選んだんだ」と思えるかどうかが、大きな分かれ目になるのではないでしょうか。自分で選んだことだから、少しくらい辛いことや悔いがあっても、この道の先で満足いく人生を手にしよう――。そんな決意ができるのであれば、どちらを選んだとしても“自分にとってのいい人生”を送れるのではないかと思います。

恋愛や結婚にかける比重はどのくらい? “今の自分”の価値観は?


投稿には、「結婚って、自然と発生したらするものかと思っていましたが、やはり活動しなければ難しい、というイメージでしょうか」という質問が投げかけられています。婚活が必要かどうかは、生活環境や性格、恋愛傾向などによって違うように思います。「異性との交流や恋愛には事欠かないけれど、結婚には至っていない」という人もいるでしょうし、性格や生活環境等の理由でまったく異性に縁がなく、「積極的に活動をしなければ知り合うことすら難しい」という人もいるでしょう。それなりに恋愛経験があり、積極的に人との交流を開拓していけるタイプならば、あえて婚活をしなくても、相手を探すこと自体はそう難しくないかもしれません。

昔に比べれば“自然発生的”に結婚するのは難しい時代になっていると言われますが、とはいえ婚活をした人が、必ずしも結婚に至っているわけでもありません。「婚活疲れ」「婚活嫌い」になる方もいますし、婚活をしてみたことで、「私は自然な出会いに賭けよう」「結婚はしなくてもいい」という決断をされていく人もいます。

トピ主さんは、婚活が必要なタイプなのかどうか。まずは自分の恋愛観や結婚観を考えてみましょう。普段、異性との交流をどのくらいしているか。恋愛にどのくらいの比重を置くタイプなのか。どのくらい理性的に恋愛をするタイプなのか。自身の結婚への希望も考えてみるといいと思います。「生活を共にできるパートナーが欲しい」という人もいれば、「深く愛し合うことが最重要」という人もいますし、「自分の生き方を理解してくれる相手がいい」といったことが最重要の人もいるでしょう。「常に恋している」「大恋愛がしたい」というタイプの場合は、結婚においても運命的なものを感じないと、なかなか決断できないかもしれません。

もし自分のことがわからなければ、過去にヒントを求めるのが最善です。これまで自分はどう生きてきたか、そしてそこからどんなことを学び、今はどのような価値観を持っているか。たとえば、仕事一番で生きてきた人でも、つらい失恋を経験して、「これからはパートナーを大事にする生き方をしよう」などと価値観が変化することもあります。トピ主さんの“今の自分”の価値観を探ってみましょう。その上で、今の自分に「婚活」が必要なのかどうか、結論を出していきましょう。

「年齢」はどのくらい結婚に関係するの?


最後に、年齢について。トピ主さんは読者からのアドバイスを受けて、「女性の年齢がそんなに重要視されていたとは…私が少し世間知らずだったようです」と記しています。今の時代、年齢が上がっても、異性との縁がある女性は恋愛も結婚もしていますよ。ただ、年齢を重ねて変わってくるのは、<1>確率上で、“マッチングする異性の母数”が少なくなること、そして<2>「年齢を重ねた分だけの魅力や常識を備えているどうか」が問われるようになること、この2点だと思います。

少し不躾な言い方で恐れ入りますが、トピ主さんが“若さ”をアピールポイントにしようと思うかどうかです。「私には若さ以外の魅力にあまり自信がない」と思うなら、年齢は多少気にしたほうがご自身のためにはなるかもしれません。確率論で言うならば、「すべての世代の男性に、年齢を理由に拒まれることがない」という意味で、20歳代~30歳代前半の女性は、確かに婚活では有利です。

ですが、人との関わりを大切にし、女性としての魅力やその年齢なりの人間性を磨く努力をし、自分の道をしっかり歩いている女性であれば、年齢を重ねていることがマイナスになるケースばかりではないのも事実です。「婚活のために、自分のやりたいことを我慢するような生き方」を選ぶことで、トピ主さんの本当の魅力に気づいてくれる男性と出会いにくくなる、そんなデメリットも考えられます。もしも婚活が順調に進まなかった場合にも、「留学を我慢してまでやっているのに……」などと苛立ち、悪循環が起きてしまうかもしれません。

「私は異性との縁もそれなりに作れるタイプだし、ステキな女性でいる努力は続けていこう」などと思えるならば、周りの意見に左右されず、ご自身で決めた道を進んで生き生きと暮らしたほうが、後悔は少ないかもしれませんね。自分自身についてしっかり考え、納得のいく選択ができるよう願っています。
(外山ゆひら)

この記事を書いたライター

外山ゆひら
対人関係、心や生き方に関する記事執筆が中心のフリーランスライター。読売新聞が運営する「発言小町」の相談コラムや、「恋活小町」を担当する。文芸、カルチャー、エンターテイメント方面を日々ウォッチしている。

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